ゼロからでもすぐ分かる!初めてのオーストリア
初めてのオーストリアをダレない程度に分かりやすくご紹介。
これから旅行を考えている方にも、留学先・就職先として検討している方もここを見とけば程良い具合に分かる様まとめています。
オーストリアってどこ?
オーストリアとはヨーロッパの中央に位置する共和国。
ドイツやスイス、イタリア、ハンガリー、スロバキアなどが隣接していて比較的色々な国籍の方が多く住んでいる国です。
例えばイタリアまで数十ユーロの電車一本で行けたり、スロバキアまでバスで日帰り旅行が出来たりと、地理的にヨーロッパ旅行の中継地としても便利な位置となっているのは覚えておいて損はないかと思います。
また、文化的にも言語的にもドイツとかなり似ている国です。
言わずもがなオーストラリアと名前が似ていますので、
「オーストリアに旅行行ってきました!!」
「オーストr…りあ?」
みたいなやり取りはあるあるですね。
英語表記でも「Australia」「Austria」と表記が似ており、テンプレの様な国際郵便物の送り先間違いが未だに存在します。
「Österreich」という公用語表記もあるのでこちらを使った方が確実。
「オーストリア」のカタカナ表記については上記の様な間違いやすさから、昔大使館で「オーストリー」に変更する動きもあったようですが、現在でも「オーストリア」が一般的です。
余談ですが国の形が伝統料理シュニッツェルに似ていると言われることもあります。
国旗
赤・白・赤の3本線。
ちなみに1230年から現在でも使用されている世界最古の国旗の1つ。
また、国章は鎌とハンマーを持ち王冠を被った鷲という男心をくすぐられるもの。
ウィーン中心部の住所名にもなっている「Dr. Karl Renner(カール・レンナー)」という方が考えた、国民の3階級の統一を意味しているそうです。
漢字で書くと?
一文字で略称表記だと「墺」、通常は「墺太利 or 澳地利」と書きます。
意外と小さいオーストリアの面積
国の総面積は83,870k㎡で、日本の北海道(83,423k㎡)とほぼ同じ。
しかし北海道の人口は約516万人なのに対しオーストリアの人口は約893万人と、人口密度はおよそ1.7倍もの差があります。
とはいえ実際に暮らしてみて人の多さを苦しく感じることはさほどありません。
首都圏中心部の地下鉄で通勤ラッシュの人ごみに出会うこともありますが、東京のそれと比べれば全然ユルいものです。
オーストリアの自然
有名なアルプス山脈やドナウ川があり、冬はスキー、夏はドナウ川に浮かぶドナウ島でフェスを開催したりと良い具合に自然の恩恵を受けられる国です。
また、蛇口を捻ればアルプスの水が流れてくるという謳い文句もハッタリではありません。
オーストリアと日本の時差はどれくらい?
基本的には日本の8時間前です。(日本 AM11:00 / オーストリア AM3:00)
ただし、サマータイム(夏時間)を実施しているため3月最後の日曜日AM3:00(=夏時間AM4:00)から10月最後の日曜日AM4:00(=標準時間AM3:00)までの間は7時間になります。
オーストリアの気候
比較的温暖な気候です。
昨今の温暖化による影響で夏季は40℃に及ぶこともありますが、代わりに湿度が低く日本での同じ気温に比べ蒸し暑さによる不快感は多少軽減されます。
冬は山岳地帯を中心に12月~3月頃まで雪が降り、ウィーンでも北海道の様な大雪になることは無いものの冬靴の準備は必要です。
オーストリアでは何語を話すの?
公用語はドイツ語です。
ただしドイツ人が話すハッキリとしたドイツ語に比べ少し訛っており、我々日本人の耳からすると少なからずモゴモゴ感があり聞き取りにくい発音となっています。
日常で使われるドイツ語単語も標準では使われない独特なものがそれなりにあり、ドイツ語初学者にとっては少々厄介に感じられることも。
例えばドイツ語のこんにちはは「Guten Tag(グーテン ターク)」ですが、オーストリアではほぼ使われません。使えば一瞬変な空気が流れます。
代わりにこちらでは「Grüß Gott(グリュース ゴット)」を使います。
あるいは椅子のドイツ語は「Stuhl(シュトゥール)」ですが、こちらでは「Sessel(セッセル)」と言ったりですね。
ちなみにありがとうの「Danke(ダンケ)」、聞き返すとき(英語の「Pardon?」に相当するフレーズ)の「Bitte?(ビッテ?)」もドイツと変わらず一緒です。
英語は通じる?
英語は全く通じない訳ではありませんが、人によっては通じるかもしれないという程度。
オーストリアは観光地としても有名で、都市中心部や名所付近のレストラン・ホテル・空港ではもちろん英語でも大丈夫ですのでご安心ください。
首都・有名な都市等
首都はウィーン(Wien / Vienna)。
「音楽の都」なんて二つ名で聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
クラシック音楽で有名なベートーベンやモーツァルト、ハイドン等が活躍していた都市です。
他にも岩塩で知られるザルツブルク(Salzburg)や美食のグラーツ(Graz)、温泉の街バーデン(Baden bei Wien)等観光地として知られる都市や名所が多数あり、湖畔の小さな町ハルシュタット(Hallstatt)は1997年にユネスコ世界遺産にも登録された一度は行っておきたい名所です。
なお、首都ウィーンはオーストリアの中央ではなく東側の端に位置しており、国内一周旅行を考えている場合には回り方を注意しないと余計な移動が増えてしまうので注意が必要。
国外からの空路は多くの場合、ウィーンから電車で20分ほどの所にあるシュヴェヒャート・ウィーン国際空港(Schwechat)に降り立つことがほとんどです。
オーストリアの行政区分
全部で9つの「連邦州(Bundesländer)」から成り立っています。
これは日本で言う所の都道府県に相当するもので、それぞれの州に州都も定められています。
- Niederösterreich(州都:St. Pölten)
- Oberösterreich(州都:Linz)
- Steiermark(州都:Graz)
- Tirol(州都:Innsbruck)
- Kärnten(州都:Klagenfurt)
- Salzburg(州都:Salzburg)
- Vorarlberg(州都:Bregenz)
- Burgenland(州都:Eisenstadt)
- Wien(州都:-)
ウィーンだけは都市自体が州となっており、州都に相当するものが存在しない特別な州です。
「ザルツブルク」は州の名称と州都の名称が同じというだけで、ウィーンとは違い都市州ではありません。
また、地理的にはウィーンもニーダーエスターライヒ州に含まれる形をしておりますが、オーストリアの行政区分上はウィーンだけ別、という形です。
オーストリア内での方言の違い
先ほどオーストリアではドイツと異なるドイツ語を話す、とご紹介しましたが、実はオーストリア内でもその方言に差があります。
現在は大きく分けて2つの方言があり
- Alemanisch(アレマニッシュ)
- Bairisch(バイリッシュ)
が存在しており、さらに地域によって細かな違いがあります。
- Alemanisch・Schwäbisch Alemanisch:フォアアールベルク州
- Südbairisch:シュタイアーマルク州、ケルンテン州、チロル州、ブルゲンラント州の一部
- Mittelbairisch・Donaubairisch:オーバーエスターライヒ州、ニーダーエスターライヒ州、ブルゲンラント州の一部、ザルツブルク州、ウィーン
ただ、実際には州でハッキリと訛りが変わるわけではなく、位置関係によってじわじわと変わるイメージです。
また、ウィーンで話されるドイツ語はWienerisch(ウィーナリッシュ)とも呼ばれています。
世界遺産
現在ユネスコの世界遺産に登録されているオーストリアの世界遺産は以下のもの。
いずれも有名な観光名所として知られています。
- シェーンブルン宮殿と庭園
- ザルツブルク歴史地区
- ハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観
- ゼメリング鉄道
- グラーツ歴史地区とエッゲンベルク城
- ヴァッハウ渓谷の文化的景観
- ウィーン歴史地区
- フェルテー湖とノイジードル湖の文化的景観
- カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林
- アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群
- ローマ帝国国境線
- ヨーロッパの大温泉保養都市群
他の観光名所
数多く存在するためここではピックアップして記載します。
ウィーン
- シュテファン大聖堂
- ホーフブルク宮殿
- ベルヴェデーレ宮殿
- シェーンブルン宮殿
- ナッシュマルクト
- カールス教会
- Museums Quartier
- ウィーン市庁舎
- ウィーン国立歌劇場
- ウィーンフォルクスオーパー
- ウィーン楽友協会
グラーツ
- シュロスベルクと時計塔
- 武器博物館
- マリアトロスト・バシリカ教会
- エッゲンベルグ城
- 二重らせん階段
- グラーツ中央広場
ザルツブルク
- ホーエンザルツブルク城
- ヘルブルン宮殿
- ミラベル宮殿
- 聖ペーター修道院
- ザルツブルク大聖堂
- モーツァルトの生家
- ゲトライデ通り
- レオポルズクローン宮殿
等々。
とはいえ、観光名所に限らずともこちらの街並みや風景は非常に美しく、適当に散策するだけでも十分に楽しむことが出来ます。
オーストリアの交通機関
都市間はÖBBと呼ばれるオーストリア連邦鉄道が主要な幹線を運営しており、路線の網羅面でも価格の分かりやすさの面でも非常に発達しています。
また、首都ウィーンでは特に市内交通網の利便性が非常に高く、U-Bahn(地下鉄)・Straßenbahn(路面電車)・Autobus(バス)でほとんどの場所に行くことができます。
さらには市が運営する自転車貸し出しサービス「WienMobil Rad」等の普及もあり、車が無くてもほとんど移動に不便を感じることはありません。
また、純粋な移動手段とは異なりますが観光的側面を兼ね備えたFiaker(馬車)も伝統的な文化の1つで、観光名所のルートを短時間で巡ることができます。
オーストリアの通貨
オーストリアに限らずEU圏内ではユーロ(€)です。
なお、コインの片面は国によって絵柄が違う他、その年限定などのレアコインが出回ることもあるため、ユーロコインを集めるコレクターも多く存在します。
歴史上の著名人など
Wikiにも載っていますが、有名どころだけチョイス。
上述の通り、特に音楽・芸術方面での著名人比率が多いです。
音楽
- アルノルト・シェーンベルク
- フランツ・シューベルト
- カール・チェルニー
- フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
- アントン・ブルックナー
- ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
- グスタフ・マーラー
- ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
- ヘルベルト・フォン・カラヤン
芸術
政治
- アドルフ・ヒトラー
※ドイツで知られていますが出生地はオーストリア=ハンガリー帝国らしいです。 - アーノルド・シュワルツェネッガー
シュワちゃんはシュタイアーマルク州のタールという町出身だそうで、現在生家は記念館になっているそう。
食文化(主食)
パン・肉・乳製品等がメインの食文化ですが、かなり美味しい水準です。
ただ、摂取カロリーも高めになってしまうのが玉にキズ。
- シュニッツェル / Schnitzel:叩いて薄くした牛肉のカツレツ
- ターフェルシュピッツ / Tafelspitz:牛肉煮込み
- ツウィーベルローストブラーテン / Zwiebelrostbraten:フライオニオンを乗せたステーキ
- クヌーデル / Knödel:パンで作った団子のようなもの
- グーラシュ / Gulasch:肉シチュー
街角のスナックも非常におススメ。
ドイツやトルコ・イタリアからの食文化流入もあって色々なものが楽しめます。
ちなみにお米が売っていないわけではありません。
値段も高いわけではなく、同じ量であればむしろ日本より安く買うことができます。
しかしながら、その多くは我々日本人が慣れ親しんでいる日本米とは異なる食感で、パラパラとしたチャーハンに使いやすいような粘り気の無いものが主流です。
逆に内陸国のため魚料理は非常に限られます。(缶詰を除く)
スーパーでも日本に比べかなり割高で、サーモンなどの少ない種類の魚しか見かけません。
食文化(スイーツ)
ケーキをはじめとするお菓子類は世界的にも高水準を誇ります。
さらにウィンナ・コーヒーに代表されるコーヒー類と合わさって一大カフェ文化を築き上げています。
- ザッハトルテ / Sachertorte:アプリコットジャムを挟んだチョコレートケーキ。チョコレートケーキの王様と言われるほど超有名
- アプフェルシュトゥルーデル / Apfelstrudel:リンゴパイ
- クラップフェン / Krapfen:アプリコットマーマレード等を入れた揚げドーナツ
- パラチンケン / Palatschinke:クレープ
- カイザーシュマーレン / Kaiserschmarren:ソースや粉砂糖を添えて一口サイズにしたパンケーキ
- ザルツブルガーノッケルン / Salzburger Nockerln:「ザルツブルクの山々」を意味する焼きスフレのような菓子
- クグロフ / Gugelhupf:王冠のような形の発酵菓子
- シュトレン / Stollen:クリスマスに食べる粉砂糖をふんだんにまぶしたケーキ
- ウィンナ・コーヒー / Wiener Kaffee:コーヒーの上にホイップクリームを浮かべたもの
- メランジェ / Melange:エスプレッソにミルクの泡を載せたもの
食文化(飲み物)
オーストリアはお酒の分野でも知られています。
ビールにいたってはドイツを抜いて年間消費量が世界第二位。ビール好きの方はシーズンのビアガーデン・ホイリゲには是非一度足を運んでみて頂きたいです。
- ビール / Bier:Ottakringer、zwettler、Gösser、Stiegl、Zipfer等が有名
- シュトゥルム / Sturm:秋頃飲めるワインになる手前の(発酵させている途中の)アルコール
- グリューワイン / Glühwein:クリスマスシーズンに飲む温めたワイン
- プンシュ / Punsch:同じくクリスマス市等で飲めるお酒のジュース割りを温めたもの
- アルムドゥードゥラー / Almdudler:オーストリアブランドの有名な炭酸清涼飲料水。ジンジャーエール的なポジション
- レッドブル / Red Bull:オーストリアブランドのエナジードリンクで有名
飲み水
オーストリアの蛇口から流れるのは日本と異なり硬水です。
ミネラル補給ができ健康に良い・シャワーで髪がごわつくなど、メリット・デメリットが存在します。
オーストリアの治安は良い?
ヨーロッパ全体で比較してもオーストリアは割と安全です。
普通に生活する分には身の危険を感じることはほとんどないと思います。
ただし、人ごみでのスリや置き引き、観光地での詐欺、空き巣の類は他の諸外国同様気を付ける必要があり、空港等であっても荷物を置いてどこかに行く様な行為はかなり危険です。
また、銃を見かけることも普通はまずないですが2020年11月にはウィーンの中心部でテロ事件が起きるなど、全くの安全と言い切ることはできません。
また、故意かどうかは別として両替・レストランでの会計時などに誤った金額を渡されることも稀にあります。
日本であれば親切な対応をしてくれるところが多いですが、オーストリアでは一度財布に入れたお金を後から正すようなことはまず対応してくれません。
お金のやり取りをする際は必ずその場での確認が必要です。
オーストリアの物価は安い?
日本との比較は円安・円高による影響がありますがヨーロッパ全体との比較として、体感的には高くはないがものによっては安くもない、と言ったところ。
仮に1ユーロ130円程度だとした場合、肉や野菜・チーズなどスーパーで買う食品群は日本より安めですが、レストランのディナーでは円換算で一食1,000円では足りないことも多いです。
そのためオーストリアで暮らす場合に比べ、旅行時の方が全体的に高くつくことが多いです。
交通費は月7,000円程度でウィーン市内の交通機関が乗り放題、学生の月の保険料は9,000円程度かかります。
不動産価格は年々上がり続けており、一人暮らしのアパート1部屋は最低でも5~6万円程は考えておくか、ルームシェア等の代案を考えておいた方が無難です。
オーストリアの給料は高い?
ヨーロッパ内でも平均的に高く、日本に比べても高めです。
しかしサラリーマンの場合4割程天引きされることも多く、生活水準が目立って高いというわけではありません。
オーストリアでのチップは?
オーストリアにもチップ文化があります。
価格帯にもよりますが支払額の5%~20%程度、キリの良い数字になる様に渡すのがポイントです。
オーストリアで利用可能なクレジットカードは?
Visa・Mastercard等主要なものは大体使えますが、JCBはお店によります。
日本からの渡航
海に面していない内陸国なので、日本からは飛行機で入国することがほとんどです。
過去数年間日本からは直行便が運休し経由便でしか入国できない時期もありましたが、今では直行便も運航再開しています。
ちなみにオーストリアを代表するもっとも有名な航空会社は、ウィーン・シュヴェヒャート国際空港をハブ空港としているオーストリア航空です。(日本のANAと同じスターアライアンス航空連合に加盟しています)
日本からの渡航に際し、観光目的でかつ滞在期間が6か月以内の場合はビザ・滞在許可の申請は不要です。
それ以外の場合には条件によって異なります。
その他、初めての方向けのオーストリア情報はこちらからもご覧いただけます。
知っておいて損はない!オーストリアのマナーについて
コレクター魂が熱くなる!ユーロの硬貨について
ちゃんと届く?日本からオーストリアに郵便を送る方法
【Vienna City Card】本当に元取れる?ウィーンの割引特典付き交通機関チケット
オーストリアの郵便局と国内・日本へ荷物を送る方法
オーストリアですぐに使える3分ドイツ語
種類がたくさん!ウィーン市内の交通手段・チケットや乗り方編
初めてだって怖くない!オーストリアへの入国について
ここはどこ?オーストリアの住所・郵便番号・階の数え方について
どうやって美味しく食べる?ドイツ・オーストリアのザワークラウト
【ばらまき用】オーストリアのスーパーで買えるお土産用お菓子ブランド
どこでできる!?︎オーストリアでのコピー・印刷