【Vienna City Card】本当に元取れる?ウィーンの割引特典付き交通機関チケット
海外観光の際、共通してまず必要となるのが公共交通機関のチケットですが、ここオーストリアではいずれの都市でもかなり簡単な料金体系となっており、各都市内の交通機関はそれぞれチケット1枚で管理することが可能となっています。
その中でも首都ウィーンでは通常の交通機関料金にプラスαした観光用のチケットというものがいくつかあるのをご存じでしょうか?
市が推しているものもあり、チケット売り場や市内中心部のインフォメーションなどでもよく見かけるもので、「コレ1枚で交通機関全部使えるしカフェやレストランでも割引効くしお土産も安く買えるよ!」という色々とお得そうなカードになっています。
今回はこれらのカードが実際どれくらいお得なのか、そして既にウィーンに住んでる人でも使ってお得なのかどうかをご紹介します。
ウィーン市内用特典付きカードの種類
現在販売されているのは以下の3つです。
特典付きカードの特徴
これらのカードは以下の機能がまとまったものです。
- ウィーン市内公共交通機関乗り放題
- 提携店や博物館等での割引
- ウィーン市内~シュヴェヒャート国際空港間の公共交通機関送迎(Vienna City Cardの有料オプション)
- ウィーン市内観光バスツアー(Vienna City Cardの有料オプション)
特徴1. ウィーン市内公共交通機関乗り放題
「乗り放題」と言えば聞こえはよいですが、平たく言えば路線制限の無い定期です。
ただし、ウィーン市内の交通機関のチケットの大半も同様に路線制限の無い定期なので、ここに関しては特にこのカードだけのメリットというわけではありません。
特徴2. 提携店や博物館等での割引
シェーンブルン宮殿やベートーヴェン博物館、アルベルティーナ、ベルヴェデーレなど、観光名所として知られているような博物館・美術館・宮殿の多くで10%~30%前後のチケット割引を受けることができます。
また、カフェラントマン、カフェモーツァルトを始めとした多数のレストラン・カフェ・バーなどでも同様に割引適用が可能です。
色んな所に行けば行くほどお得になる、という事ですね。
特徴3. 市内~空港間の公共交通機関送迎
Vienna City Cardの有料オプション特典の一つ。
ウィーン市内とシュヴェヒャート空港間を走る交通機関には電車・直通電車・バスがあり、有効期限7日間以内であれば、その全てで数回引き換えできるというもの。
ただしこの特典、めちゃくちゃ注意が必要なのが、Vienna City Cardを持っていれば市内~空港間を無料で行き来できるわけではないということ。
というのもVienna City Cardの有効範囲は当然ながらウィーン市内のみで、ウィーン市の境界駅から市外にあるシュヴェヒャート空港までの区間は別途費用がかかるためです。
サイト等の説明にも「無料」とは一言も書いていないんです。
また、もし勘違いしてその区間のチケットを持たないまま乗車してしまった場合、そしてもし車掌さんのチェックがきたら100ユーロ以上の罰金が確定してしまうという恐ろしコンボが存在します。メンタルもお財布もゲージゼロです。
ちなみに運良く車掌さんのチェックが来ないこともあるのですが、いずれにしても勘違いで無賃乗車状態になってしまう事の無いよう気を付けたいですね。
特徴4. ウィーン市内観光バスツアー
こちらもVienna City Cardの有料オプション特典の一つ。
専用の観光バスに乗りながら、ウィーン市内中心部をスイスイ回れるというもの。
コースは2種類あり以下のページで確認可能です。
https://www.bigbustours.com/de/vienna/wien-routen-karten
もちろん各バス停で乗り降りすることも可能ですので、気になる場所があったら降りてみる、といった使い方が可能。
そもそもの定期料金はいくら?
こちらのページでご紹介していますが、同条件(24時間・48時間・72時間・1週間)での市内交通機関の料金は以下の通りです。
- (24時間)8,00ユーロ
- (48時間)14,10ユーロ
- (72時間)17,10ユーロ
- (1週間)17,10ユーロ:72時間と同額
比較してみましょう。
Vienna City Card(有料オプション無し)
- (24時間)17,00ユーロ
- (48時間)25,00ユーロ
- (72時間)29,00ユーロ
- (1週間)プラン無し
Easy City Pass
- (24時間)15,90ユーロ
- (48時間)21,90ユーロ
- (72時間)26,90ユーロ
- (1週間)30,90ユーロ
Queer City Pass
- (24時間)15,90ユーロ
- (48時間)21,90ユーロ
- (72時間)26,90ユーロ
- (1週間)30,90ユーロ
そもそも本来の素チケットですら24~72時間のものはかなり割高という点はあるのですが、大体+10ユーロ前後の価格であることが分かりますね。
つまり、概算で10ユーロ以上、チケット自体の価格を考えれば15ユーロ以上の割引を受けることができればこれらのカードを買うメリットがある、という事が言えそうです。
お店や施設でも割引感は?
上述のことから、提携店や博物館等での割引で15ユーロ超えられるかがボーダーラインとなります。
各カードの提携店はこちらで確認が可能です。
Vienna City Card
https://www.viennacitycard.at/
Easy City Pass
https://easycitypass.com/de/wien/
Queer City Pass
https://www.queercitypass.com/wien/
Albertinaで-2ユーロ(本来チケット価格から-10%)、Mozarthaus Viennaで-2ユーロ(-18%)、Schloss Schönbrunnで-2ユーロ(本来チケット価格から-6%)と、博物館・美術館などでは多くが数ユーロ程の割引となっており、大体5~10ヵ所ほど回れれば15ユーロ分にはなりそうな相場観です。
細かい話、一覧を眺めていると人気のあるスポットは割引率が低く、あまり観光スポットとしては人気が無い所が多く、といった思惑が見え隠れしたり。
なお注意したいのが、学生や子供の場合元々入場料が無料か半額以下になることがほとんどなので、卒業旅行などで訪れる際にはこれらの恩恵が受けにくい構造になっています。
ホテル・お土産店・カフェ・レストラン・バーでは、例えばVienna City Cardなら一律-20%、それ以外のカードでは-10%~-50%の間で割引を受けることができます。
有名どころだと「Café Landtmann」「Café Mozart」「Wiener Rathauskeller」など。(「Casino Wien」なんかも)
上述の施設系と違い、支払額の合計から割引が掛かるので、元の支払額が多ければ多い程メリットがあると言えます。
特にホテルは支払額も高いのでおすすめです。
なお、ホテルでの割引は予約サイト経由ではなく直接予約が原則で、チェックインの段階でカードを提示する必要があるので要注意。
ただし期間に注意
上記のことから価格面だけで見れば元を取るのもそう難しい事ではないのが分かりますが、肝心なのがこれらのカードの有効期限がたったの1~3日しかないこと。
言い換えれば、これらのカードが提携するホテルの泊まり、これらのカードが提携する美術館を巡り、これらのカードが提携するカフェで食事するくらいの勢いでないと元を取る余裕はなく、特に24時間券だともはや最短ルートを目指すリアルタイムアタック状態です。
優雅にお茶どころか牛丼掻っ込むくらいの勢いがないとキツイと思われますので、自由に見て歩いて楽しみたいという方は本当に必要かどうか、ご自身の旅行スタイルに合わせて検討した方が良さそうですね。
ウィーンに住んでる人が使うのはアリ?
こちらに住んでる人は基本的に既に何かしらの定期を持っているため(しかも1日当たり0.5~1ユーロ)、カード価格の全額分に対して元を取れるか、という事になってきます。
しかも割引はカード1枚当人払いにつきなので、ちょっと豪華な恋人とのディナーで~とか、日本に帰るからお土産大量に買わなきゃ~といった時であればなんとか元を取れる…かも…?
それでも100ユーロ分くらいの支払いがあってやっとという感じでしょうか。
そのためもし使うとすれば、予め1日でたくさん買うような予定を立てておいて24時間券で勝負する感じですね。
ちょっと買うのに注意が必要な特典付き交通チケット、気になる方は是非買ってみて下さい。