オーストリアを含む周辺のヨーロッパ諸国の水道水は地形の関係で硬水であることが多いです。
「アルプスの天然水が蛇口から出てくる!」とか言われることが多いですね。
「硬水」というのはその水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量が一定以上のもので、逆にそれ以下だと「軟水」と呼ばれます。(日本の水道水はほぼ軟水の様です)
硬水であることのメリット・デメリット
- こちらの記事にも書きましたが、赤ちゃん・お腹の弱い方は飲みすぎると下すことがあるようです。(個人的には私も強い方ではないですが、特に気にしたことはなかったです)
逆に言うと便秘解消に役立つのでその意味では健康的ですね。 - カルシウム・マグネシウム(これをミネラルと呼ぶそうです)が多く含まれるので、自然とミネラル補給ができます。
カルシウムに限って言えば牛乳飲んだ方が良さそうですが。 - 若干苦いです。苦いという表現が正しいかどうかわかりませんが「あ、なんか…金属?」と、少し感じるくらいです。
でも慣れれば気にならなくなる程度。 - シャワー後の髪がごわつきます。
こちらで売っているシャンプー等は多分硬水であることも前提に作られているとは思いますが、それでも泡立ちがそこまでではなく、乾かすと髪がゴワッとなるのは間違いないです。 - 料理に差が出ます。
基本的に和食は軟水、洋食は硬水で作った方が美味しいらしいですが、正直同時に食べてみないと比較できないので気にしたことはなかったです。
オーストリアの水はどれくらい「硬い」のか?
これは硬水の基準となる「硬度(Wasserhärte)」の問題です。
これにはいくつか単位がありますが、日本ではアメリカ硬度「ppm」、オーストリアではドイツ硬度「dH」が使われることが多いです。
単位の差は
1dH = 約17.8 ppm = 約0.178 mmol/l
です。
下記サイトが参考になります。
https://www.cactus2000.de/uk/unit/masswas.shtml
「ppm」基準で
- 軟水 / 0~60
- 中軟水・中硬水 / 60~120
- 硬水 / 120~180
- 超硬水 / 180以上
といった分類があります。(この分類基準は色々あるようですが)
オーストリアの水道水の硬度を掲載しているサイトがいくつかありました。
Wasserhärte Verzeichnis
https://www.wasserhaerte.net/oesterreich/index.html
オーストリア国内の硬度をdHで表記しています。
wasserwerk.at
http://www.wasserwerk.at/home/wasserqualitaet/wasserhaerte-oesterreich
同じくオーストリア国内の硬度をdHで表記しています。
wasser-testen.at
ウィーン・グラーツ・リンツ・ザルツブルグ・インスブルックの硬度をdHで表記しています。
bmnt.gv.at
https://www.bmnt.gv.at/wasser/wasserqualitaet/grundwasser/karte_haerte_GW2017.html
地下水ですがオーストリア国内の硬度を地図で表記しています。
wien.gv.at
https://www.wien.gv.at/wienwasser/qualitaet/haerte.html
ウィーン限定ですが地区ごとの硬度をdHとmmol/lで表記しています。
各サイト若干ばらつきがありますが、例えばウィーンの「8dh」は各地域の平均なのでしょうがかなり当たっていそうです。(硬度は常に一定ではないので、数年前のデータでも実際にはかなり違う可能性があります)
仮に8dhで計算すると約143ppmとなりますのでウィーンは確かに「硬水」ですね。
上記ウィーン市のサイトでは
0~10dH:weich(柔らかい)
10~16dH:mittel(中間)
16dH以上:hart(硬い)
という基準でも載せているので、これで考えるとウィーンは「柔らかい」そうです。
逆にグラーツは15~16dHらしいので約268ppm~286ppmの「超硬水」となります。
私はグラーツに住んだことはないので分かりませんが相当ごわつくんでしょうか?(知っている人いたら教えてください)
じゃあ軟水に出来ないの?
確かにどれだけごわつく硬水だろうが、軟水に出来れば何も怖くありませんね。
ここでさらに用語が出て来ます。
硬水の中で、煮沸することで軟水になるものを一時硬水、しないものを永久硬水と呼びます。
これは、カルシウム・マグネシウムが炭酸塩として含まれているか、硫酸塩・塩化物として含まれているかで分かれます。
また、硬水を軟水にする事を軟水化(Wasserenthärtung)と言います。
で、オーストリアの水道水は?
これがどちらか?という話ではなく、オーストリアの水道水は両方混ざっているような感じで、煮沸すると軟水になる部分の硬度を一時硬度(Carbonat-Härte)、ならない部分の硬度を永久硬度(Nichtcarbonat-Härte)と呼びます。(ちなみにこれらを合計したものが総硬度(Gesamthärte)と言い、今まで使っていた硬度はこの事です)
つまり、オーストリアの水道水を煮沸すれば一部は軟水になるし、残りはなりません。
一部ってどれくらい?
数値としてのデータは見つけられませんでしたが実際には永久硬度の割合が多く、少なくとも煮沸すると軟水になるとは言えないレベルらしいです。
それでも軟水が欲しい!
煮沸ではダメですが、軟水器を使うという選択肢はあります。
一応、硬水というのは別に体に悪いものではなくむしろミネラルが自然と摂取できるくらいで、さらにオーストリアの水道水はいわゆる「ベスト」な美味しい状態で、これ以上何かをする必要はないよ!という事は各市等で謳っていますが、それでも軟水化したいという人は多いみたいですね。
「Wasserenthärtung Wien」等で検索すると色々出てくるので、どうしても軟水が必要な場合は探してみてください。