これまでウィーンでは「Citybike」という市が提供している自転車レンタルサービスがあり、自転車を持っていない方や旅行者でも気軽に市内をチャリ移動できる便利な交通システムがありました。
自転車の乗り降りができるステーションも相当数あり、都度1時間までは無料ということもあってかなり使いやすいサービスだったんですが、経営面でのアレコレがあって今年2022年3月で19年間の歴史に幕を閉じました。
地下鉄駅の近くのステーションで自転車を借りて、自宅の近くのステーションで自転車を返すみたいな使い方ができるため、トラムや地下鉄が止まってしまったような時でも学校や会社にたどり着ける保険的な意味でも非常に助かっていましたし、無料になる1時間のインターバルもたった15分のため、休憩挟みながらなら無料で長時間乗れるのも非常に良かっただけに非常に残念…。
と思いきや、後継サービスがスタートしたのはみなさんご存じでしょうか?
WienMobil Rad
https://www.wienerlinien.at/wienmobil/rad
前述の様に経営面での理由からサービス停止となっては「ウィーンのみんなが困んだろ?だったら続けようぜ!」と名乗りを上げたのがウィーン市内交通会社の「Wiener Linien」。(そんなやり取りがあったかは知りませんが)
Wiener Linienと言えば普段我々が乗っているトラムや地下鉄の運営会社です。
そんなわけで2022年4月からは「Citybike」ではなく「WienMobil Rad」として引き続き市内で自転車が乗り回せるようになりました。
前サービスとの違いは?
主な違いとしては料金体系が挙げられます。
今回は利用量に応じて課金されるものと年パス課金されるサブスク料金体系となっており、年パスのみ無料利用枠がついているものの、Citybikeであった誰でも1時間無料のような特典は残念ながらありません。
詳しくは後述しますが、代わりにWiener Linienの定期チケットを持っていれば安く利用できる形になっています。(ウィーン市内で暮らしていれば基本的には何かしらの定期を持っていると思うので当てはまる方は多いかと)
また、Citybikeでは約120カ所だったステーションの数も200カ所以上と、より乗り降りしやすくなりました。
なお、サービス開始直後の現段階では自転車数は1,000台で、今年の秋に向けて3,000台に増やしていくそうです。
1,000台というのが実際どれくらいなのかあまりピンときませんが、朝夕のラッシュでも余裕があると嬉しいですね。
プランの違いは?
現時点では4つです。
Standardtarif
0,6ユーロで30分利用できるプラン。
これを含め全てのプランに同じ最大料金が決まっており、24時間使っても14,90ユーロまでとなっています。
WienMobil Mix Tarif
0,3ユーロで30分利用できるプラン。
Wiener Linienの定期がある方はStandardプランの半額で利用できるということです。
Standard Jahresabo
年間49ユーロの年パスプラン。
0,6ユーロで30分利用でき、自転車を借りる度に最初の30分が無料になります。
WienMobil Mix Jahresabo
年間25ユーロの年パスプラン。
0,3ユーロで30分利用でき、自転車を借りる度に最初の30分が無料になります。
Wiener Linienの定期がある方はStandard年パスプランの半額で利用できるということです。
Wiener Linienの定期とは?
「~Mix」が利用できるWiener Linienの定期はどれでも良いというわけではなく、以下のものと決まっています。
- Jahreskarten
- Semesterkarten
- Top-/Jugendtickets
※チケットについて詳しくはこちら
WienMobil Radの登録方法
上記のURLからプランを選んで無料アカウント登録後、確認用の1ユーロを課金するとアカウントが有効化されます。
なお、プランの登録先はWiener Linienではなく「nextbike」と見慣れぬサービス名になっていますが、これはnextbikeとWiener Linienが共同で運営しているためで気にしなくて大丈夫です。
また、MixプランはWiener Linienでの定期と連携が必要ですが、これはアカウント有効化の際に自動的に適用されます。(上記の定期チケットにはどれも氏名等が入っているためですね)
nextbikeは元々公共の自転車共有システムを開発および運用しているドイツの会社で、オーストリア以外にもドイツ・イギリスやニュージーランド・アメリカ等25か国の都市で事業を展開しているようです。
ってことは他の国でも使える?
そうなんです。
WienMobil Radの登録で、他のnextbikeが運用する国でも使用できるようになります。
ただし、料金は現地依存の様です。海外旅行行きたい…。
ステーションの場所は?
以下で確認できます。
https://www.wienerlinien.at/wienmobil/standorte
また、実際に自転車を借りる際にも必要になるnextbikeのアプリでも確認できます。
https://www.nextbike.at/de/wien/
あとは名前の通りWienMobilのアプリでも確認できるので、持ってない方はインストールしといた方が楽ちんです。
https://www.wienerlinien.at/wienmobil-app
ステーション検索の他、Wiener Linienチケット購入やÖBB連携・タクシー呼び等々できるので普通に入れておいて損はないかと。
自転車の借り方
上述のnextbikeアプリで自転車にあるQRコードを読み取るだけです。
この辺りステーションにある端末をポチポチ操作する必要があったCitybikeより簡単ですね。
自転車の返し方
普通に戻すだけで自動的にロックされます。
自転車の予約
利用する15分前から予約できます。
アプリでステーションを選択して予約をタップするだけです。
自転車が盗まれたり破損したりした場合
滅多にないと思いますが一応。
盗難はすぐにnextbikeと担当の警察署に報告し、バイク番号を報告する必要があります。その後報告のコピーをnextbikeに送信する必要があるそうです。
費用は状況に応じて75ユーロを上限に請求されるようです。(ただし重大な過失または故意の場合500ユーロの車両代全額を支払う義務があるとのこと)
損傷した場合もすぐにnextbikeに報告する必要があります。
こちらは費用は状況に応じて75ユーロを上限に請求されるようです。
基本的には乗る前に壊れていないかチェックするのが大事ですね。
乗ってからでは色々と疑われるんじゃないかと。
自転車の交通ルールとか分からない
オーストリアでの交通標識等は以前Citybikeの記事でご紹介しているので気になる方はご覧ください。
個人的にずっと思ってる事ですが、ウィーンに限らずオーストリアは散歩だったりサイクリングしていて気持ち良い街並みが多いと思います。緑の割合だったり道の広さが丁度良いんですよね。
Citybikeは乗ったことなかったって方もこれを機に自転車デビューしてみるのも良いですし、私の様にカロリー消費を目標に掲げている方は休みの日や朝にドナウ沿いを走ってみたり郊外行ってみるのも良い気分転換になるのでおススメです。