ここオーストリアを含めヨーロッパでは毎年9月が新学期の開始時期のため、3月末に日本の学校を卒業した学生さん達がお引越しの準備期間として7月~8月にこちらに物件を見つけて引っ越しされる方が多いかと思います。(入試受けて合格分かるのが大体6月末なので)
そこで今回はオーストリアも特に人気の高いウィーンにフォーカスして物件選びのポイントをご紹介。
なお、Altebau・Neubauの違いや楽器演奏可の物件等については以下でも過去ご紹介しています。
なのでここでは物件選びの際の重要な要素の一つ「アクセス」に焦点を当てていきます。
ウィーン市内の基本的な物件相場感
ご存じの通り、ウィーンは以下の図の様にシュテファン寺院がある1区を中心に東京と同じく23区から構成されており、渦巻き状に2・3…22・23と付番されています。
また、家賃の相場もザックリとこれに連動しており、一般的には1区が一番高く、数字が後ろに行くほど安くなる、という風に言われています。
ただしこの区番の差はあくまで基本的なもので、図の10・13・23区や2・20区等番号順とは言えない個所も多々あるのが分かるかと思います。
また上図からも分かる通り、2区や14区・22区など面積が広い区では同じ区内でも場所によって少なからず相場に差があります。
もしくは近隣に教会等の観光シンボルや公園があるエリアも、多少相場が高めになりやすい傾向にあります。
特に生活に便利なショッピングモールや大きな駅・AKH等の総合病院が近くにあるとその差が顕著です。
家賃交渉って出来るの?
100%交渉が出来るわけではありませんが、日本の大家さん・不動産会社よりは交渉出来る可能性があるように思います。
私の肌感覚になってしまいますが、不動産会社と言っても実際には様々で、スーツバリッバリの営業マンが意外と「じゃあ聞いてみるよ 😎 」と掛け合ってくれることもあるので、少しでも家賃を下げたい場合は言ってみるもんです。
大家さんが個人で管理している物件なんかだと交渉自体はかなりの割合で可能です。
日本人的な感覚からすると、値下げ交渉なんて人生でそうそう多く経験しているものでもないので中々勇気が出ないものですが、「聞くのはタダ」と割り切ってサクッと一歩踏み出しても損はないかと思います。
ちなみにウィーンは住みやすい都市世界ランキングの超常連都市で、不動産価格もコロナ渦関係なく上がり続けている需要の方が高い街です。
そのため交渉はできたとしても価格の値下げがどれくらい可能かはまた別のお話で、貸主・売主側も強気なためなかなか思い通りの交渉にするのは難しいかもしれませんのでご注意。
ヒントは立地・アクセス?
前述の通り、区の番号からある程度の相場の高低が分かってしまうため、おススメ物件をいくつか並べてみた際についつい区番が多く相場の低い住所のものを選んでしまいがちですが、立地・アクセスについてはよく見てみないと分からない部分が結構あります。
例えば上図から分かる通り13区・23区よりも12区の方が中心に近いので相場的にもそうだと思えてしまいますが、実際の中心部からの距離はその中心を走る地下鉄駅2、3駅分程度の差しかありません。(時間にして5分程度の差)
そのため路線周辺の物件であれば相場も大した差は無く、むしろその物件の状態や近場にスーパーがあるか等の方がよほど重要な要素になります。
同様に1区に隣接する区同士や15~19区でもそこまで多きな差というのは無く、これらの物件同士の比較では区番の大小というのはさほど重要ではないのが分かるかと思います。
例外的に1区だけは別格で、ここに住む方々は「私の時給は53万です」みたいなレベルの人がゴロゴロおり、私の様な庶民が多少見栄を張ったところで借りられる物件はそう多くありません。
お化け屋敷みたいなのがあればもしかしたらイケるかもしれませんが…。
お金が有り余っている方以外は、基本的に2区以降から探した方が良いです…。
最寄り駅が複数ある立地条件を選ぶ
ウィーン市内の(というか日本が異常なんですが)地下鉄であれトラムであれバスであれ、どの路線も突然遅延・運休する可能性があります。
事故だったり天気のせいだったり混雑だったりと理由は様々ですが、日本のそれよりは頻度も高くすぐにアナウンスが表示されるとも限らないので、結構慣れが必要です。
遅延の場合、数分で済まないこともしばしばなので東京から来た人は多分発狂するんじゃないかと勝手に思ってます。
しかし、その公共交通機関網はかなり発達しており、多くの場合1つ2つの路線が運休したとしても代替手段がある場合がほとんどです。
ですので物件を選ぶ際も、最低2ヵ所は徒歩3分以内に交通機関の乗り場がある場所を選んだほうが良いです。
逆に最寄りの路線が1本しかない場所だと、それが運休した際に学校や会社へ向かう手段が徒歩・タクシー等に限られてくるため一気に窮地に陥ります。
特に外周区になるほど路線一本頼りの物件が増えてくるので物件のおすすめポイントに「トラム○○が目の前」なんて書いてあっても過信は禁物。
これは言い換えれば、物件の近くに路線が無いとしても少し歩けば他の複数の路線がある事が多い、という事ですので、その物件が安い理由が最寄りアクセスの悪さなら意外と何とかなることも。
というか一度住んでみると分かりますが、ぶっちゃけ物理的な広さで言うとウィーン自体そこまで大きくない街なので、せいぜい15分も歩けば何かしらの路線に辿り着ける場合がほとんどです。
通勤・通学先がリンク周辺なら乗り継ぎを視野に入れる
上述の通りウィーン市内では地下鉄・トラム・バスを併用すれば乗り継ぎの選択肢が非常に多い街です。
一見最寄りの路線が中心部へ向かわないからと選択候補から外してしまうのは非常にもったいなく、1回2回の乗り継ぎ(10分かそこら移動時間が増えるだけです)で実は中心部アクセスできる場合がある、というか大体行けるのであんまり「最寄り駅」みたいなキーワードに惑わされない方が良いです。
近くにあったら便利な施設
あとは月並みですが、周りに以下のものがあればベターです。
- 食品スーパー(BILLA・Hofer等。Sparはちょっと高め…)
- 化粧品系スーパー(BIPA・dm等)
- 郵便局(日本との荷物のやり取りに)
- 銀行系ATM
- お持ち帰りピザ屋等(何かと便利)
スーパーに関しては日・祝日開いているスーパーも少ないながら存在するので気にしておいて損はありません。
また郵便局についてですが、物件によってはポストの関係で荷物が不在通知扱いになると最寄りの郵便局まで取りに行かなければならないこともありますし、船便を送る場合だと結構大変なことになるので近くにあった方が便利です。
車メインの街と異なり、徒歩 + 交通機関がメインの移動手段になるウィーンではアクセスの良し悪しがそのまま生活のしやすさ・しにくさに直結します。
しかし街自体のコンパクトさから多少徒歩が増えても生活できる、というのもまた事実。
物件自体の設備の良し悪し、Alt・Neuのスタイル等も加味しながら自分にとってベストな物件を選びたいという方のご参考になれば幸いです。