海外旅行先としてのオーストリア各都市や季節の違いを徹底比較
ドイツ・イタリア・ハンガリー等、中欧として多数の国に隣接するここオーストリア。
地形的にはアルプス山脈も通り、国土的には東西に長く伸びる形状のため、オーストリア国内の各州・各都市で少なからず郷土料理や景観が異なるという特徴があります。
ここでは季節と主要な都市を中心に、オーストリア観光における見どころ等の違いを見てみましょう。
旅行・観光先としてのオーストリアと周辺国との違いについてはこちらから。
オーストリアの概要について知りたいという方はこちらから。
オーストリアに行くならどのシーズンが良い?
まずは季節ごとの見どころの違いから。
比較的安定した気候故に大きなハズレシーズンがないのがオーストリア。
夏の暑さが気になるかどうかや、スキーやホイリゲ等特定のシーズンでしか楽しめないものも存在するため個人の好みが大きく反映される部分ですが、大まかには以下の通りです。
春の見どころ
丁度良い気温で最も散策しやすいシーズンのため、春にコンサートやカフェ・街中を巡るのももちろんおすすめではありますが、見ごたえ抜群の自然の多い国ということも忘れてはいけません。
ドナウ川に沿ってクルーズ船で観光してみたり、ゼメリング峠を通る電車から絶景を眺めたり、自然公園やローマ帝国の国境長城跡を訪れてみるというのも一興。
詳しくはこちらにてご紹介していますが、いずれもユネスコに登録されている世界遺産です。
夏の見どころ
春と同じく世界遺産巡りも良いですが、真夏の日中の暑さはそう甘くありません。(日本ほど湿度が高くないのでカラッとした暑さですが…)
また、日本ほど商業施設や屋内での冷房設備も整っているわけではないため、街角で三段重ねのアイスやパフェを食べたり、カタコンベと呼ばれる地下墓所で背筋を凍らせるのも悪くないでしょう。
後は何と言っても夏の風物詩とも言えるサマーフェスティバルが大人気。
多国籍なオーストリアらしくいろんな国の料理屋台やお酒を味わいつつ各地で開催される屋外映画やライブを楽しむのが定番の夏の夜の過ごし方です。
特にウィーンのドナウ島で開催されるDonauinselfestには世界中からたった3日間の開催で300万人が集まる規模で、フェス好きなら見逃せないシーズンです。
逆にクラシックコンサートやオペラなどの公演は基本的に7月・8月はオフシーズンとなるため注意。
秋の見どころ
夏の暑さも引けてくる秋はもちろん「美食」のシーズン。
ご存じの通りオーストリアのワインは世界的にも有名ですし、「ホイリゲ」と呼ばれるワイン酒場でこのシーズンここでしか味わえないシュトルム・モストといったワインの一歩手前のお酒とチーズやハム・豚の足なんかに舌鼓を打つのが忘れられない思い出になります。
また、日暮れに訪れる教会のステンドグラスや旧市街の中世の街並みは大自然とは違った意味での「絶景」で、目立つイベントが無い代わりに航空チケットも安価になりやすい秋は、いわゆる「隠れ家シーズン」と言えるでしょう。
冬の見どころ
アルプス山脈が跨るこの国では、もちろんスキーが盛んです。
スキー好きならここならではの質の高い雪の上を滑るのがおすすめのアトラクションの一つでしょう。
しかし何といっても冬のメインイベントは11月~12月に開かれるクリスマス市。
スパイシーな料理が集まりやすいサマーフェスティバルに対し、冬の屋台はチーズがかかったホクホクの皮つき芋やニンニク油の揚げパン「ランゴス」等、寒空の下で食べるにはもってこいの食べ物を見つけることが出来ます。
そしてそのお供に欠かせないのが冬のワイン「グリューワイン」と「プンシュ」。
いずれも甘く飲みやすく体も温まる上、その年その場所限定のマグカップが手に入るためコレクターも多いです。
もちろんスノーボールやクリスマスカレンダー、シュトーレンなんかも見逃せませんね。
目的別おすすめのシーズン
上述の通り個人の好き嫌いによりますが、
- 観光メインなら春・秋
- 暑いのが苦手なら春・秋・冬
- クラシック音楽・オペラ鑑賞なら春・秋・冬
- お土産メインなら秋・冬
- フェス好きなら夏・冬
といったところでしょうか。
個人的には真夏の暑い中汗だくになりながら空港を移動するのが本当に嫌で、基本的には夏以外の旅行が好きです…。
ただ、直行便、もしくはシャワーのある空港ラウンジが使える状況であれば、日を跨ぐような経由便でもそこまで苦にはならないかもしれません。
また、航空券の価格も考慮が必要です。
日本発の場合、年末年始・3月卒業シーズン・ゴールデンウィーク・夏休み7月~8月・クリスマスシーズンは価格も上がりやすいため、これらからずれたタイミングで予約することで大きく費用を抑えることが出来ます。
オーストリアの主要な観光都市
今度は主要都市別に、どんな特徴や違いがあるのかを見てみましょう。
ウィーン
「最も住みやすい都市」世界1位にも選ばれるオーストリアの首都ウィーン。
もちろん住みやすさだけではなく、その歴史的な背景から作られた街並みの美しさや宮廷御用達の菓子店、大聖堂、教会、宮殿など観光スポットの数も非常に多く、ベートーヴェン・シューベルト等多くの作曲家が活躍したことから「音楽の都」とも呼ばれています。
また、日本でもよく耳にするウィンナ・コーヒーが生まれた「ウィーンのカフェ文化」も非常に有名です。
見る・食べる・歩く・お土産いずれの目的でも存分におすすめできる首都の名に恥じない世界都市でしょう。
ザルツブルク
そのこじんまりとした大きさとは裏腹に世界中から観光客が毎日訪れる都市として知られる観光都市です。
ウィーンと同じく旧市街がユネスコの世界遺産に登録されている他、モーツァルトの生家があるゆかりの都市として「ザルツブルク音楽祭」が開催されたり、街並みが一望できるホーエンザルツブルク城があったりと見どころの大渋滞が起きている都市と言えます。
また、本場の名物として
- モーツァルトが描かれ、マジパンをチョコレートでコーティングしたモーツァルトクーゲル(Mozartkugeln)
- ザルツブルクの山々の様にそびえたつスフレのデザート、ザルツブルガーノッケルン(Salzburger Nockerln)
- カレー風味のホットドッグ、ボスナ(Bosna)
が特に知られています。
グラーツ
オーストリア第二の都市グラーツも、上述ウィーン・ザルツブルクと同じく街の中心部がユネスコの世界遺産に登録されています。
特にゴシック・ルネサンス・バロックと各時代の建物が今でも使われているという点で、他都市には無い生きた中世の街並みを感じることが出来ます。
また、美食の都市としても国内外の評価は高く、高品質なトリュフやパンプキンシードオイル等のお土産が手に入ることでも有名です。
インスブルック
「アルプスの首都」とも呼ばれるオーストリアの西の玄関口。
ウィンタースポーツやハイキングに最適な場所にあり、大自然と都市の景観が上手くマッチしていることで知られています。
都市自体はそこまで大きくないこと、首都ウィーンと反対側にある故に観光で訪れるにはいささか不便なことから比較的観光優先度は低く見られがちですが、リヒテンシュタインやスイス・イタリア・ドイツ等へのアクセスが良好なため、これらの周辺国も訪れる際には必ず一緒に見て回りたい場所とも言えます。
リンツ
オーストリア第三の都市でもあるリンツは商工業都市、そして国際的な大学都市としても国内の評価が高い所です。
15世紀後半から16世紀にかけて誕生したとされる「世界最古のトルテ」リンツァートルテ発祥の地でもあり、国内の他都市に比べ広さも派手さも無いものの、ウィーンと同じくドナウ川が流れるこの場所が「住むにも見るにもバランスが良い」という声は少なくありません。
ハルシュタット
人口800人弱、観光客毎年約100万人。
世界の湖岸で最も美しい街がここハルシュタットです。
そのすべてがユネスコの世界遺産に登録されており、岩塩坑や納骨堂、教会、世界遺産博物館などコンパクトな街並みながらも日帰りするにはもったいなすぎるオーストリアのまさに宝刀。
宮廷料理やおしゃれなカフェなんてものもここでは味わえませんが、美しすぎる湖畔の街並みを背景に食べる魚料理は確実にオーストリア旅行の中でもトップクラスの思い出になるはずです。
自然との調和がとれた都市が多い
オーストリアには上記の他にもドナウ川のクレムス、ザルツカンマーグートの小さな町グムンデン、湖畔のクラーゲンフルト、山々に囲まれたブレゲンツ等、自然との調和が美しい都市がいくつも存在します。
もちろんそれぞれに郷土料理や見どころ・観光スポットがあり、人口や街の規模からは判断がつかない「行ってみないと分からない」良さが必ずあります。
ただそのすべてを一度の旅行で回ることもまた困難で、ウィーンやザルツブルク等の知名度の高い都市に重きを置くのか、クレムスやクラーゲンフルト等の地元感溢れる都市を巡るのかは個人の好みとも言えるでしょう。
コスパよくオーストリアを堪能するには?
- 滞在期間が2週間以上ある
- 必ず訪れたい特定の都市やアトラクション等が既に決まっている
- 時間や予算が十二分にある
こういった理由があるのであれば話は別ですが、限られた時間で普通に「オーストリア」という全体的な雰囲気や食べ物・文化を満喫したいのであれば、基本的には首都ウィーンを訪れるだけでも存分に味わえます。
体感的には全部の都市を回りつくすのが100%の堪能レベルだとすると、ウィーンだけを見て回るのでも60%~70%くらいは堪能できるはずです。
なぜウィーンだけでもそんなに堪能できるの?
日本を例にすると分かりやすいです。
ご存じの通り、例えばお好み焼きやたこ焼きなら大阪、ラーメンなら札幌や博多、景観なら京都や奈良といった、何かに特化した観光都市というのは首都東京以外にも多数存在します。
しかし日本を初めて訪れる外国人の方に、東京以外のこれらの都市全部に行くことを勧めるでしょうか?
予算も時間も限られた海外旅行で足早にあちこち移動するのはあまり良い過ごし方とは言えませんし、お好み焼きでもラーメンでも東京にだって美味しいお店はたくさんあるはずです。
あちこち行く余裕があるなら別ですが、まずはざっくりとした「日本」を味わってもらうなら東京だけでも十分に可能ですよね。
それと同じことがオーストリアでも言えます。
ザルツブルクやグラーツ等その場所が「本場」の名物料理はいくつもあるものの、ほぼ同じものがウィーンでも食べられます。
宮殿や教会・街並み等ももちろん一つ一つに違う魅力がありますが、ざっくりとオーストリアの雰囲気を味わうならウィーン市内だけでも観光スポットは山ほどあるわけです。
コスパの良いオーストリアの回り方は3つ!
日本から直行便で訪れる場合はもちろん経由便であっても、基本的に最初に訪れるのはウィーンのはずです。
そのため
①ウィーンだけを存分に満喫するプラン
②ウィーン+αとして1・2か所近場の都市にも行ってみるプラン
③ウィーン+ハルシュタットに行くプラン
のいずれかがベストと言えます。
一番時間も費用も掛かるのが、ウィーンからインスブルックまで色んな都市あちこちに行くプラン。
もちろん都市一つ一つに違う魅力がある以上それが出来るなら最高ですが、移動時間的にも費用的にもコスパは悪いと言えます。
また、②のプランで言う「近場の都市」というのは何も国内の都市だけの話ではありません。
詳しくはこちらでご紹介していますが、隣国ハンガリー・チェコ・スロバキア・スロベニアへは現在日本からの直行便は存在せず、オーストリアから経由する等の方法でしか訪れることが出来ません。
逆に言えば、オーストリアのついでにこれらの国も見て回る方がコスパは良いわけです。
特にスロバキアの首都ブラチスラバへはウィーンからなんとバス一本片道1時間程度で訪れることが可能。
ウィーンから最も近い主要都市グラーツですら電車で片道2時間程かかることを踏まえると、そのコスパの良さは一目瞭然ですよね。
例外的にハルシュタットだけは多少時間を取ってプランに組み込んでも損はしないと自信を持っておすすめできます。
訪れるための交通費用や時間は確かに多少掛かってしまいますが、その雰囲気や景観だけでもお釣りが来るからこそ、観光客毎年約100万人という規模を誇っているわけです。
プラン次第で旅行の満足度は大きく変わる
当たり前と言えば当たり前ですが、予定をカツカツにすればするほど慌ただしく楽しめない旅行になるのは言うまでもありません。
予算については美術館・博物館や自然公園・立ち見のコンサート等、やり方次第で無料~低額で楽しめるものもたくさんありますが、時間だけは平等に流れていきます。
いろんな場所を見ることはもちろん大事ですが、せっかく高い飛行機代をかけて行くのですから楽しむ時間より移動時間の方が長い…なんてことはないようにしたいですよね。
無理のないプランであればあるほどゆとりがあって楽しめる旅行になるので、これからオーストリア旅行を考えている方は是非参考にしてみてください。
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