海外旅行先としてのオーストリアと周辺国を徹底比較【美食・見どころ・物価等】
国自体の日本での知名度があまり高くなく、ヨーロッパ旅行の行先として最初に挙げられにくい国、それがここオーストリア。
しかし少しググると、近隣のドイツやフランス・イタリア等と比べても勝るとも劣らない、独自の文化・景観・味が楽しめる超おすすめ旅行先なのが十二分に分かるハズ。
ここではヨーロッパ旅行の行先としてみた特に、周辺国との違いや魅力を見比べてみましょう。
オーストリアの概要についてはこちらもご参考に。
旅行先としてのドイツ・スイス・リヒテンシュタインとオーストリアの違い
同じドイツ語圏として比較されがちなこの3つの国ですが、旅行先としての違いは実は明確です。
大都市のドイツ・文化のオーストリア
まず最初に、一番似ていると言われるドイツから見て行きましょう。
両者共に、いわゆるドラクエで見たかのような歴史ある街並みが楽しめますし、都心部と豊かな自然(アルプス山脈や湖等)のバランスが良く対比を楽しめるのも非常に似ています。
ただ、現在の人口(2021年)はドイツが8320万人、オーストリアは895.6万人という事からも分かる様に、似ている都市景観にもドイツの方が近代らしさを感じる部分は非常に多いです。(国の面積も違いますが)
逆にオーストリアの都市景観は伝統を重んじる風習があるため、良い意味で「昔から変わらないよね」という感想が真っ先に出てきやすいと言えるでしょう。
ちなみにクラシック音楽界隈での対比として昔からよく言われているのが「ドイツは重厚、オーストリアは華」というもので、景観で言うなら古城のドイツ、宮殿のオーストリアといった具合です。
実際にはドイツの宮殿もオーストリアの古城ももちろんあるのですが、雰囲気・イメージの差というやつですね。
似ているのは食べ物の面でも同じ。
肉、ソーセージ、ビール、ワインなんかはどちらも美食のレベルです。
ぶっちゃけどちらの国のも美味しいことには変わりありませんが、知名度の観点から言うならドイツはソーセージやパン・ビール、オーストリアはケーキやコーヒー・ワインがおススメです。
ただし、平均的にオーストリアの物価はドイツに比べ10%程度高く、旅費を最優先で考えるならドイツの方が良い場合が多いです。
※もちろん細かく見ていけば、両国で同じ価格のものもあれば20%以上違うものもあるので、あくまで概算です。
つまり、「旅行先としてオーストリアとドイツ、どっちが良い?」と聞かれれば、コスパの面ではドイツ、それ以外では雰囲気や名産の好みで異なる、ということになりそうです。
スイスとオーストリアの違い
こちらは結構明白で、アルプス山脈をはじめとした自然の美しさを求めるならスイス、華やかな宮殿や文化を味わいたいならオーストリアです。
明白な違いは食文化にも言えることで、スイスで高品質なチーズのチーズフォンデュと山の絶景を楽しむのか、オーストリアで宮廷御用達のカフェ巡りをするのか、旅行の好みがはっきり分かれます。
また、スイスは日本に比べ物価が非常に高い事でも知られています。
これはオーストリアと比べても同じで、コスパを考えるならオーストリアの方が散策しやすいと言えるかもしれません。
つまり、「旅行先としてオーストリアとスイス、どっちが良い?」と聞かれれば、コスパの面ではオーストリア、それ以外では旅行の目的や好みで異なる、ということになりそうです。
リヒテンシュタインとオーストリアの違い
税率が非常に低いタックスヘイブンとして知られるリヒテンシュタイン。
スイスとオーストリアに挟まれ国土面積は160平方キロメートル、人口がたったの3.9万人(2021年)であるにもかかわらず、その税率の魅力に世界中から企業が進出しており、小国ながら超豊かな国として知られています。
地理的にも当然ながら、スイス自慢のチーズやオーストリア自慢のシュニッツェル等を文化的にも受け継いでおり、自然の味を生かしたソーセージやパン等を中世の城や高山の絶景を眺めながら楽しめるという、旅行先としても良いとこどりの国です。
雰囲気的にはスイスが近いかもしれませんね。
また日本からの直行便は現在無く、主にスイスのチューリッヒから入国するのが一般的です。
オーストリアのインスブルックからの陸路も可能ではありますが、日本からの直行便があるウィーンからはかなり距離があり(インスブルックは西端、ウィーンは東端)、オーストリアを横断しながら見て回る大冒険でなければおススメではありません。
加えて物価の高いスイスと一緒に見て回る場合、旅費が高くついてしまう点も注意が必要ですね。
つまり、「旅行先としてオーストリアとリヒテンシュタイン、どっちが良い?」と聞かれれば、「コスパ重視ならオーストリア、大自然の絶景やスイスも楽しみたいならリヒテンシュタイン」ということになりそうです。
旅行先としてのその他の周辺国とオーストリアの違い
オーストリアの周辺国はほかにもあります。
イタリアとオーストリアの違い
イタリアと言えばやっぱりイタリア料理。
本場のピッツァやパスタを堪能したいならイタリア以外の選択肢はないですよね。
ちなみにオーストリア(特にウィーン)にもイタリア人が作るイタリアンレストランは非常にたくさんあります。
それこそ探すまでも無く、その辺を2~3分歩けば1つはレストランが見つかるくらいです。しかも控えめに言って安くて美味しい…。
もし「本場の」という点がそこまで重要ではなく、オーストリアのケーキもカフェもイタリアンも楽しみたい!ということなら検討の余地はありそうです。
また、この2国においては景観・文化もはっきりと異なり、内陸国のオーストリアが山や湖・宮殿を見どころと言うならイタリアには地中海沿岸に位置する美しい海や砂浜、港町、古代ローマ時代から残る建築物や美術品があります。
旅行日数や予算が許すなら両方味わいたいというのが旅行者みんなの本音。
物価に関してはイタリアはオーストリアよりも10%~15%程度安いのでコスパの観点では非常におススメです。
つまり、「旅行先としてオーストリアとイタリア、どっちが良い?」と聞かれれば、「中欧やクラシック文化を楽しみたいならオーストリア、コスパを重視したい・地中海イタリア料理やローマ文化を楽しみたいならイタリア」ということになりそうです。
ハンガリーとオーストリアの違い
内陸国かつドナウ川が首都を真っ二つに横断するという同じ特徴を持ちながら、西欧・東欧という文化の違いが顕著であるオーストリアとハンガリー。
まさにヨーロッパの街並みですと言わんばかりのオーストリアに対し、ハンガリーにはアジアとヨーロッパが融合したような独特の雰囲気があります。
オーストリアにもベートーベン御用達のバーデンという温泉街があるのですが、ハンガリーは観光の目玉でもある世界有数の温泉天国ということもあり、温水湖や浴場・スパを求めるならハンガリーが非常に魅力的ですね。
また、料理の面でもパプリカやサワークリームを中心とした味付けはスープやこってりとした肉料理との相性が良く、比較的シンプルな味付けをベースとしたオーストリア料理とは大きく好みが分かれるところ。
ちなみに、ハンガリーでは伝統料理としてグヤーシュやパラチンタが挙げられますが、オーストリアの伝統料理にもグーラッシュやパラチンケンという超似ているものがあり、隣国という文化の交わり合いを感じさせる一面もあります。
ハンガリーへは現在日本からの直行便がありません。
そのため、オーストリア等隣国から陸路で入るか、他の国からの経由便で訪れることになります。
また物価の面でのハンガリーはオーストリアよりも20%~30%程度安いのが大きな魅力。これは周辺の東欧とさえ比べても安いです。
つまり、「旅行先としてオーストリアとハンガリー、どっちが良い?」と聞かれれば、コスパの面でも「オーストリアとハンガリー両方見て回った方が良い」ということになりそうです。
チェコとオーストリアの違い
ハンガリーと同じく東欧に括られるチェコですが、地理的には内陸国かつドイツ・オーストリアに隣接していることもあり、食文化的には兄弟的立ち位置を感じさせます。
グヤーシュ・シュニッツェル・ソーセージ等、名前も味も非常に似ているものの他、タタラークやペチェナー・フサ、スヴィチュコヴァーと言った独自の料理も多く、食べたいもの基準で旅行先を比較するにはなかなか難しいかもしれません。
これは見どころにも当てはまることで、プラハを始め中世の街並みや華麗なお城等の世界遺産が見られる点もオーストリアと非常に似ています。
ただ、チェコにはガラス製品や伝統工芸といった名産品があり、菓子やワイン等のお土産を探すならオーストリア、食器や工芸品目当てならチェコ、といった目的で考えてみるのも良さそうです。
なお、チェコへは現在日本からの直行便がありません。
そのため、オーストリア等隣国から陸路で入るか、他の国からの経由便で訪れることになります。
また物価の面でのチェコはオーストリアよりも15%~25%程度安いのが大きな魅力。
つまり、「旅行先としてオーストリアとチェコ、どっちが良い?」と聞かれれば、コスパの面でも「オーストリアとチェコ両方見て回った方が良い」ということになりそうです。
スロバキアとオーストリアの違い
ハンガリー・チェコと同じく東欧の国として知られるスロバキア。
国土面積もそこまで大きくなく、他のヨーロッパの観光スポットのような華々しさという点ではいささか人気がありませんが、ゴシック建築の教会や美しい国立公園など見どころが無いわけでは決してありません。
カプストニカやハルシュキ等、この国独自の伝統料理の他ビールの美味しい国としても知られています。
もちろん近隣の東欧と同じくパラチンキ、グヤーシュといった共通の伝統料理も健在。
また、物価がオーストリアに比べ安いというのも大事な点ですね。
しかし「旅行先としてオーストリアとスロバキア、どっちが良い?」ということは実は考える必要がありません。
なぜなら、スロバキアの首都ブラチスラバはオーストリアの首都ウィーンからバスで1時間程度で行けるほど近い場所にあること、そして現在日本からスロバキアへ直行便は無く、最も簡単な方法が上述の通りウィーンから行くことだからです。
また物価の面でのスロバキアはオーストリアよりも15%~20%程度安いのが大きな魅力。
つまり、スロバキアに旅行に行くならオーストリアも一緒に見て回った方が圧倒的にコスパが良く、実際多くの旅行者もそうしています。
逆に言えば、オーストリアに旅行に来るならスロバキアも見た方がお得ということですね。
スロベニアとオーストリアの違い
地理的にも分かる通り、イタリア・オーストリア・東欧の良いところを足して3で割ったような食文化のスロベニア。
ハチミツや天然塩、トリュフ、ワインと隠れた美食要素も多く、パスタやカツレツ・ケーキ等が美味です。
また、南の一部が(ギリギリ)アドリア海に面しており、シーフードという内陸国には無い大きな美食アドバンテージがあります。
鍾乳洞、湖、国立公園、断崖の城と自然の美しさを堪能できるスロベニアは、ハンガリー・スロバキアと同じく現在日本からの直行便がありません。
そのため、オーストリアやイタリア等を始めとした隣国から陸路で入るか、他の国からの経由便で訪れることになります。
また物価の面でのスロベニアはオーストリアよりも15%~20%程度安いのが大きな魅力。
つまり、「旅行先としてオーストリアとスロベニア、どっちが良い?」と聞かれれば、コスパの面でも「オーストリアとスロベニア両方見て回った方が良い」ということになりそうです。
フランスとオーストリアの違い
実はフランスとオーストリアは共に芸術と文化に焦点を当てた魅力が多いという共通点があります。
エッフェル塔やルーブル美術館、モン・サン・ミシェルなどの世界的に有名な観光地はもちろん、美食の地としてもフランスの人気が相当に高いことは誰もが知ることです。
対してオーストリアにもシェーンブルン宮殿やホーフブルク宮殿、オペラ座、美しい湖畔のハルシュタットやザルツブルクの街並みと言った観光地は多く、ケーキを始めとする菓子やウィンナーコーヒーを提供するカフェ文化では他の追随を許さないほどの人気を誇ります。
歴史的にも文化の方向性としても似て非なる両者ですが洗練された華々しさの様な雰囲気があるという点では、実はドイツよりも近しいものが感じられる人も少なくありません。
また、「フランスは物価が高い」という事もよく聞きますが、最近の物価比較ではフランスもオーストリアもあまり変わらないのが実情。
そのためコスパの観点では甲乙つけがたいです。
「旅行先としてオーストリアとフランス、どっちが良い?」と聞かれれば知名度の点でフランスが有利ですが、「旅行先としてウィーンとパリ、どっちが良い?」と聞かれれば、もはや好みのレベルで判断するしかないように思われます。
イギリスとオーストリアの違い
海を隔てたイギリスと内陸国のオーストリア、一見地理的にも文化的にもあまり関係性が無い様に思われる両者ですが、いざ旅行先として考えた際にはかなり悩ましいかもしれません。
観光地としての見どころは、イギリスにもビッグ・ベンやロンドン塔、バッキンガム宮殿、大英博物館等々所狭しと数多くの見どころが立ち並びますが、上述の様にオーストリアもその点では勝るとも劣りません。
「マズイ」と定評のあるイギリス料理文化も我々日本人からすれば「実際に本場の味を体験してみたい」と思える食文化ですし(本当にマズイかどうかはともかく…)、クラシックなカフェ文化から連なるオーストリア独自のケーキ・コーヒーを味わいたいというのも、方向性は違えど「本場の味」を楽しむという意味では同じです。
ただし、物価・旅費の観点から考えるとイギリスはかなり高め。
オーストリアも決して物価が安くはない国ですがイギリスほどではありません。
つまり、「旅行先としてオーストリアとイギリス、どっちが良い?」と聞かれれば、コスパの面ではオーストリア、景観や食の体験なら好みによる、ということになりそうです。
スペインとオーストリアの違い
スペインもイタリアと同じく美味しい本場料理が味わえる美食の国。
それでいて世界遺産の数も第3位と非常に豊富で旅行先としてはかなりおススメです。
サグラダ・ファミリアをはじめ、バルセロナ・マドリード・グラナダ等それぞれの都市が見どころで溢れているのが魅力ですね。
パエリアやオムレツ、生ハム、トルティーヤ、アヒージョ等々スペインならではの食文化が味わえるため、カテゴリは違えどイタリアと魅力の方向性は近いところがありますね。
景観・美食共にオーストリアとは全く別ベクトルの歴史があり、もはや好みで選ぶ領域かと思われます。
また、物価はオーストリアに比べスペインの方が安く、地図上の位置に反して夏の暑さも両国対して変わりません。(湿度は比較的低いですがいずれにしても夏は暑いです)
他、大きな差としてはスペインへは現在直行便が無いこと。
イギリス・ドイツ・中東国等を経由する必要があるため、空路のシンプルさという点ではオーストリアの方が楽です。
つまり、「旅行先としてオーストリアとスペイン、どっちが良い?」と聞かれれば知名度・コスパの点ではスペインの方が有利ですが、景観やグルメの点では好みのレベルで判断するしかないように思われます。
ヨーロッパの物価比較
以下は「Eurostat」と呼ばれるEU統計局が発表した、2021年のヨーロッパの消費者物価指数(PLI)のグラフです。
物価の高低はそのまま必要な旅費に直結しますので、コスパを最優先するならこのグラフから考えてみるのも良いかと思います。
EU平均よりもオーストリア含めドイツやフランスが高く、スイスに至っては圧倒的に高いのが見て取れる他、イタリアやスペイン・東欧諸国は平均以下なのが分かりますね。
治安について
物価比較と同じく、治安や生活品質・経済的豊かさにおいても「Eurostat」から統計データは発表されていますが、旅行先の観点から言えば(個人的には)このデータはあまり参考にはなりません。
というのもどの国においてもスリや置き引きはそもそも海外旅行必ず注意すべきことですし、女性や子供が夜1人で人気のない場所を出歩くことは日本でもどの国でも手放しで賛成できることではないですよね。
それらの発生頻度をいくら見比べた所で、自分がそれらに出くわすかどうかは自身の注意力や行動に大きく左右されるはずです。
逆に言えばそういった基本的な事さえしっかり注意をすれば犯罪や詐欺に会う確率はどの国でもそうそうありませんし、治安の多少の良し悪しで旅行先を決めてしまうのは非常にもったいないことだと思います。
満足のいくヨーロッパ旅行には最低2週間は欲しい!
どの国を訪れるにせよ、せっかくのヨーロッパ旅行で1週間というのは正直かなり短いです。
というのも到着して数日は時差ボケで思うように行動できないですし、残り数日という状況でじっくりお土産を選ぶというのもなかなかせわしないものです。
また、伝統料理を味わいたいと言っても胃袋の大きさはそう簡単に変わりません。
限られた日数で色々食べようと思ったら、慣れない味を満腹になるまで詰め込む羽目になり観光どころではなくなってしまうかもしません。
加えて多くの国では土日のお店の営業が休みか営業時間が短くなっていることも多く、週末には予定通りに散策出来ないこともしばしばあります。
自分自身が十分に散策出来て、食事も色んなものも楽しめて、お土産も選ぶ時間がある…。
私の経験上そういうある程度の時間的なゆとりがあって、初めて現地の空気感や文化が少しずつ体感できる様になります。
もちろん日数が増えるほどホテル代も掛かりますし学校やお仕事の都合があるのはもちろんですが、せっかく高い飛行機代をかけて行くのですから出来る限りの時間的なゆとりを確保して旅行プランを立てることをおススメします。
海外旅行先としてオーストリアが気になっているけど他の国も気になる、そんな方のご参考になれば幸いです。
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