カレー、カツ丼、生姜焼き定食…我々日本人にとってお米が無い生活というのはイタリア人にとってパスタが無い生活みたいなもので(多分)、みんないくら黒パンやらケパブやらシュニッツェルが美味しいと言っていても、心の奥底では炊きたての真っ白艶やかなほかほかのごはんのことを忘れたことは無いはず。
残念ながらここオーストリアの食文化の中ではお米はあんまり興味のない食材らしく、普通にスーパーでは安く手に入るものの日本人が求めるそれとは結構違いがあります。(オーストリアのお米の種類についてはこちら)
特に粘り気に関しては普段慣れ親しんでいる日本米(ジャポニカ米)と決定的に違いがあり、普通に炊いただけなのにまるでチャーハンのために炊きましたと言わんばかりにパラパラしているのがこちらのデフォ。
なので何とかあの粘り気のある、とんかつソースやみそ汁をしっかりと受け止めてくれるお米の種類を探し出すために、スーパーや市場、アジアンスーパー等を駆け巡るのがオーストリア在住者の洗礼の儀式だったりするのですが、お米そのものの他にもう一つ気にしなければいけないのが「炊く手段」です。
ん?炊飯器って普通に売ってるんじゃないの?
売ってはいます。
ドイツ語では「Reiskocher(ライスコッヒャー)」で、家電量販店「Saturn」や「MediaMarkt」とかに行けばすぐに見つかるものです。
が!その性能に関しては日本ほどこだわりがあるものはほとんどなく、多くは「炊く」「保温する」というシンプルな機能しか備わっていません。
「早炊き」だとか「ふっくら」だとか「おかゆ」だとか…そんな気の利いたボタンは存在しないのです。 😥
またタイマー機能すら付いているものはそう多くなく、米炊きへの関心もニーズも結構違うもんだなぁ、と感じます。
炊飯器の性能ポイントにもIH式とか熱対流がどうとかっていう話は全然さっぱり出てきません。
ただ逆に一つ良いこともあり、炊飯器の価格帯が日本より低いです。
30ユーロを切る炊飯器も珍しくなく、20ユーロ以下のものもたまにあります。
もちろん作りは簡素なものでコンセントを指す=保温状態、炊くボタン(というかガシャコンレバー)があるだけ、蓋は開閉式ではなくお鍋の蓋みたいなガラス製、みたいな感じではありますが。
私が最初に来た時に初めて買ったのもIKEA製のガラス蓋のシンプルなやつでした。
ちなみにガラス蓋タイプは何と言っても保湿性能がからっきしで、炊いた後保温なんてしてたらすぐご飯が硬くなってしまうため「ご飯を炊いたら残りは小分けして冷凍庫!」っていう主婦スキルが自動的に身に付く優れモノ。
値段が上がるにつれて機能も増えてきて、大体50~70ユーロ辺りで蒸し機能と蒸し器セットもついてきます。
100ユーロ前後でReiskocherから「Multikocher」にランクアップし、蒸し機能の他スープやらパンやらパエリアやらの機能が付いてくる感じですかね。
ご飯に関するオプションはそれでも「炊く」のみですが。
日本の炊飯器持っていけないの?
サイズや重量の制限はありますが、一般的なサイズの炊飯器であれば飛行機の機内持ち込み・預け荷物両方可能です。
ただ、持ってきたとしても今度はプラグ・電圧の問題があります。(オーストリアのプラグ・電圧についてはこちら)
プラグは買えば済む話ですが、変圧器は定格容量と言うワット数の上限があるため熱を扱う炊飯器となるとかなり種類が限られるわけです。
また、定格容量に収まったとしても炊飯器だけで変圧器一ついっぱいいっぱいになることもあるのであまりおすすめではないかもしれません。
海外向け炊飯器を日本で買う手も!
日本でもAmazonとか楽天とかで海外電圧向けの炊飯器が売っています。230V対応の物であればあとはプラグさえ揃えれば使用できるため、飛行機で持ち運ぶ手間より白米へのこだわりを優先するなら一番良い方法かもしれません。
中華系ショップでも炊飯器が買える!
中国製炊飯器が売っています。
「はぁ?中国製?買わないよ 😆 」と思うかもしれませんが、それでも「ご飯を炊く」という機能に関してはこちらで買える普通の炊飯器よりオプションも多く、またメーカーにもよりますが変圧器も必要としないため選択肢としては十分アリかと思います。
私がIKEAの次に買ったのがこの中国製で、U4「Kettenbrücken gasse」近くの中国ショップで手に入れてきました。
いわゆる普通の炊飯器で保温も問題なく、炊飯オプションもいくつか付いていたのでIKEA製よりは全然使いやすかったんです。字はほとんど読めませんでしたが。
炊き上がりも問題無かったですし、急に爆発することもなかったため愛用していましたが残念ながら数年で炊けなくなってしまいゴミ捨て場行きに。(オーストリアのMistplatzについてはこちら)
ちなみに買う時に中国人の友達に付いてきてもらったので選ぶ際に「こっちのやつなら大丈夫 😎 」と本場の助言が得られたのと、なんか勢いで値下げ交渉が始まり中華ジャスミン的な?お米1kgもお店がおまけしてくれたのは嬉しかったですね。(友達曰く値下げ交渉は割とよくあるらしいです)
炊飯器が無ければ鍋で炊けばいいじゃない!
私の場合良い炊飯器が見つからないから、という消極的理由でやり始めたのですが、ご飯の鍋炊きというのも意外とおすすめです。
「ご飯 鍋 炊き方」とかで検索すればたくさん参考になるサイトが出てくるかと思いますが、お米の1.2~1.3倍くらいの水と強火で沸騰→弱火でコトコト。この20分程度の行程と蒸らしだけでその辺の炊飯器より断然おいしい白米が炊けるので自分でもびっくりしました。
よく鍋炊きは難しいと聞きますが強火で吹きこぼれる可能性があるのは数分程度ですし、どのみちご飯を作る時はキッチンに立つのであまり苦にはなりません。
スイッチ一つでできる炊飯器よりは若干手間なものの、吸水も予め1時間くらいしておけば米が違うという事すら些細な問題に思えてくるほど満足できるご飯が炊けるので、炊飯器を持ってる方でも是非試してもらいたいくらいです。
電子レンジ炊飯容器は旅行におすすめ!
見たことある人も多いと思いますが、1,000円未満で売っている電子レンジ用の炊飯容器。
あれはこういった国への海外旅行でかなり使えます。
炊ける量がそんなに多くないので一人暮らし向けの位置づけですが、軽いので特にある程度長期の旅行にはトランクに入れておきたいものの一つ。
ヨーロッパに数週間もいれば白いご飯もたまには食べたくなるのが我々日本人の性。BIPAとかでスポンジと小さいサイズの洗剤を買ってくればホテルで洗うのにも困らないため、夜食にこっちのお米の試し食いというのも楽しいんじゃないかなと個人的には思っています。安いので最悪容器を捨ててきても良いわけですし。
オーストリアの人は普通どうやってご飯を炊くの?
普通に炊飯器を使うスタイル、鍋で炊くスタイルの他、フライパンでバターなんかと軽く炒めてからそのまま炊く、いわゆるパエリア的な炊飯方法も一般的の様です。
また、炊飯器の場合でも塩やオリーブオイル、アルコールやはちみつ(!)等、何かしらちょっぴり入れて炊くことが良く知られる手法らしいですね。(ちなみにどれもちょっと違った味わいになり美味しいです)
ちなみに「Sushi」も今ではメジャーな料理で、「Essig(お酢)」を使った酢飯の作り方も一般的に知られていたり、「Sushi Reis」というお米や「Sushi Essig」「Sushi Sojasauce(寿司醤油)」とかスーパーで売られていたりします。(割高ですが)
たかが米と言えばそれまでですが、たまには「ほっかほか」が食べたくなるので長期滞在予定の方は是非炊飯器の事も検討してみてください。