【誰でもVORTEILScardで半額】オーストリアの都市間の交通手段
オーストリア旅行と言えば首都ウィーンが一番話題に上がりやすいですが、日本の北海道とほぼ同じ大きさのこの国にはウィーン以外にも数多くの名所や世界遺産が存在しています。
モーツァルトの生まれ故郷でもあるザルツブルクやユネスコ世界遺産にも登録されている湖畔の街ハルシュタット、あるいは大自然が眼前に広がる街インスブルックでグルメを楽しむなど、映える見どころ・人気のアクティビティスポットがわんさか。
3歩歩けばインスタに上げるシャッターチャンスが巡ってくるので、片時もスマホを手放せない女子はもれなく筋肉痛に見舞われます。
また、住みやすさ世界一二を争うウィーンを拠点に、ザルツブルクの音楽院モーツァルテウムやヨーロッパ有数の大学都市グラーツへ毎日通学する学生の方などもいるでしょう。
北海道とほぼ同じ大きさにも関わらず、観光そして生活のために都市から都市へ移動する人の数は年間4億9,360万人。
日本人口の約4倍の人々が行き来する国です。
そのためオーストリア国内にはみんながスムーズに移動できるよう、さまざまな移動手段を選べる交通網が発達しています。
今回は各都市間を移動するための交通手段について、オーストリア旅行が初めての方も迷わずチケットが選べるようご紹介します。
オーストリア都市間の交通手段
ウィーンを含めオーストリアで公共交通機関のチケットを購入する際、知っておくべき大きな括りとしては「各市内でのみ運行している交通機関」と「各都市を繋ぐ交通機関」に分かれます。
前者はウィーン市内の「Wiener Linien」やザルツブルク市内の「Salzburg Verkehr」、後者は「ÖBB(Österreichische Bundesbahnen)」「Westbahn」がメジャーです。
都市間の移動手段には以下の選択肢があります。
飛行機
予算に余裕のある方向け。
皆さんご存じウィーンのシュヴェヒャート国際空港の他にも、各都市に空港があります。
オーストリア国内の空港一覧
- ウィーン・シュヴェヒャート国際空港(Flughafen Wien-Schwechat)
- ザルツブルク空港(Flughafen Salzburg)
- インスブルック空港(Flughafen Innsbruck)
- グラーツ空港(Flughafen Graz)
- リンツ空港(Flughafen Linz)
- クラーゲンフルト空港(Flughafen Klagenfurt)
行き先の都市に空港がある場合、お金はかかりますがウィーンのシュヴェヒャート国際空港から乗換えで一発、移動時間も最速なので楽ではあります。
ただしコストパフォーマンスがあまりに悪いので、石油王でなければ利用している人はごく稀です。
都市近郊鉄道
Schnellbahn(シュネルバーン)あるいは略してS-Bahnなどで呼ばれている、都市圏とその周辺地域を繋ぐ鉄道です。
現在はオーストリア国内の7つの地域に開通しています。
S-Bahnは都市間を行き来できるものではないのですが、例えばウィーン市内から隣町の温泉町バーデンまで足を伸ばす際や、ザルツブルク市内から湖畔の名所ツェル・アム・ゼーに行く際、あるいはシュヴェヒャート国際空港からウィーン市内まで向かう際などにも多くの人が利用しています。
実はオーストリアだけではなくドイツやスイスなどにもS-Bahnは走っており、ウィーンならWiener S-Bahn、ザルツブルクならSalzburg S-Bahn、グラーツならS-Bahn Steiermarkというような呼び方で地域ごとに区別されています。
ちなみに上述の通り都市圏とその周辺地域を繋ぐ鉄道ですので、市内でのみ有効な乗り放題チケットだけを持っていても市から出たエリアでは無賃乗車扱いになってしまいやすいので注意。
有名なところだと、ウィーン市内の乗り放題チケットを持っていれば、空港へ向かう7番線停留所の市内区間(Wien Mitte-LandstraßeやRennweg)では他にチケット不要ですが、市の境界外であるSchwechatからFlughafen Wienまでの区間は別途チケットを持っている必要がある、といった具合です。(ちなみに見つかると最悪罰金加算)
逆に言えば、初めてウィーンを訪れる際にはFlughafen Wien~Schwechat区間の片道チケットと、市内の乗り放題チケットだけが必要で、多くの旅行者が初手で過ちを犯すようにFlughafen Wien~Landstraßeまでの区間を買ってしまうと重複してしまいもったいないという事です。(数ユーロ程度の差ですけど…)
ウィーン市内はWiener Linien、市外は後述のÖBBが運用しているのも初めての方には分かりにくい点かもしれません。
オーストリア旅行でも特にチケット形態が分かりにくいものの一つなので要注意。
都市バス
Postbus・ÖBBbus・FlixBus・Eurolinesなど、オーストリア国内だけ運行しているものと、近隣国あるいはヨーロッパの都市間も走っている路線など様々な運行会社のものがあります。
Postbus
https://tickets.postbus.at/de/ticket?cref=postbus-header
ÖBBbus
https://www.oebb.at/en/tickets-kundenkarten/oesterreich-europa/intercitybus
FlixBus
https://global.flixbus.com/
Eurolines
https://www.eurolines.lt/de
一見電車で移動するよりも安いのでは…?と思ってしまいがちですが、オーストリア国内に限っては後述の電車移動の方が安くなる可能性が実は高いです。
なので国境を越える移動やそもそも鉄道が走っていない山の方などへ向かい際などに利用することが多い手段と言えます。
オーストリアのウィーンからドイツのベルリンなど、特に国境を跨ぐ移動に関しては複数の運航会社を検索して費用や移動時間の比較を行えるサイトがたくさんありますので、目的地やご旅行のプランに合わせて検索することをおすすめします。
リーズナブルかつ快適な席を見つけるには航空チケットの検索と同じく多少粘り強い検索が必要です…。
https://traveling.com/de/land/oesterreich
https://www.checkmybus.at/service/busfahrplaene
レンタカー
オーストリアもジュネーブ条約締約国ですので、日本の免許証をお持ちの方は国際運転免許証を取得すればオーストリアで運転することが可能です。
レンタカーもすぐ見つけやすいのでおすすめなのでは…?と思われるかもしれません。
ただ、正直全くおすすめはしません。
一番の理由は日本の運転とは勝手が違いすぎるためです。
他の国と同様左ハンドル・右側通行ですし、交通標識も当然ながら異なります。
え、一方通行や一時停止くらいすぐ分かる?でも馬車と並走したことはないですよね?
市内では路面電車も走っていますし、特に道路幅が狭いウィーンの住宅街では子供や買い物帰りのおばちゃんが元気よく飛び出してくるため日本よりもはるかに心臓に悪いです。
それにもかかわらず法定速度も日本より高速なため、あまりのんびり走っていればケツから煽られる始末…。
また、場合によっては縦列駐車をしなければならない機会にも恵まれますが、これが1cmのズレが命取りになるほど非常に難易度が高く、かなり慣れていないとすぐにぶつけてしまうか、停める所を見つけられず延々と彷徨う羽目になります。
ですので、免許を持っている方でもレンタカーの選択肢は優先順位を下げておいて良いかと。
都市間鉄道
オーストリアではコスパ・時間共に優秀なメインの移動手段になります。
そのほとんどの路線はÖBB(Österreichische Bundesbahnen)が運用しており、ここの公式サイトやアプリは入れておいてまず損はありません。
https://www.oebb.at/de/tickets-kundenkarten/online-mobile-ticketing/oebb-app
特にアプリではチケット検索はもちろん後述のアカウント連携や窓側席の予約、リアルタイムの遅延情報等確認できることが非常に多いため、ダウンロードしておきましょう。
ウィーンからザルツブルグやグラーツへ行く時も基本はÖBBです。(一部路線はWestbahnもアリ)
本数もかなり多く走っているので、一本遅れてしまったら旅程が総崩れなんて事はありません。
ÖBBの列車の種類はいくつかあり、それによって同じ時間帯・同じ行き先であっても若干運賃が異なることがあります。
- ÖBB Railjet (RJ, RJX)
- ÖBB Nightjet (NJ)
- ÖBB Eurocity & Intercity (EC & IC)
- Intercity-Express (ICE)
気になる費用感ですが、その前に重要な点を。
そう、VORTEILScardです。これなくしてÖBBは語れませんね。
VORTEILScard
https://www.oebb.at/en/tickets-kundenkarten/kundenkarten/vorteilscard
このVORTEILScard(フォアタイルスカード)は、アカウント登録してカード料金を支払うだけでÖBBの運賃のほとんどが半額になるというおすすめカード。
購入や利用にネックになる条件もほとんどの場合ないことから、ÖBBのチケット購入はこのカードを持っている前提と言っても差し支えないほどよく知られているカードです。
有効になる開始日を事前に選択することもできますし、当日からの利用ももちろん可能。ちなみに一度の支払いでの有効期間は1年間です。(6ヶ月前から購入可)
Vorteilscardのメリット
- ÖBB鉄道のチケットが50%割引
- 私鉄のチケットが最大50%割引
- ウィーン市内~シュヴェヒャート国際空港間の特急列車 CATが50%割引
- ウィーン空港線バスが割引
- 誕生日特典としてオーストリア全土の路線で2等席が無料
- ÖBBのレンタカーサービスRail&Driveの登録料無料(要運転免許証)
- ÖBB鉄道ツアーパッケージ利用で特典
- 列車内でコーヒーか子供用スナック菓子が1ユーロ割引
運賃の半額が最大のウリですが、事前に買っておけばウィーン~空港間特急のCATも半額になったり、誕生日は無料旅行が出来るなど、旅行の方にも在住の方にも恩恵を受けやすいメリットが揃っています。
Rail&Driveとは?
ÖBBが行っているレンタカーの貸し出しサービスで、国内各地でレンタカーの受け取りと返却が出来る様になります。
例えばウィーンからインスブルックまでは電車で、インスブルックではÖBBのレンタカーで移動できるので歩く必要もなくなり湖畔や山など交通手段がない場所へも行きやすくなるわけですね。
ただ、前述の通りそもそもオーストリアでの車の運転に慣れていない場合はあまりおすすめではないと思います。
VORTEILScardの購入方法
駅構内での券売機やチケットカウンターでも購入することが出来ますが、一番楽なのは上述のアプリやサイト上での購入です。
https://shop.oebbtickets.at/en/ticket?tabIndex=2
まず名前やメールアドレスなどの基本情報を入力してÖBBアカウントを開設し、その後クレジットカード払いなどでVORTEILScardの年間購入をする流れになります。
購入時には実物カードの発送先として住所の入力も求められますが、オーストリアだけではなく海外(日本)の住所も入力可能です。
アプリやサイトでの購入の場合、実物カードが無くても画面を見せることでVORTEILScardの代わりにもなるので実物カードは携帯必須ではなく、乗車時に万が一スマホの充電が切れた時くらいしか使い道はありません。
ただし重要な点として、後述の通りVORTEILScardは年齢によっても種類が異なることもあり写真付き・年齢確認が出来る身分証(パスポートなど)は別途提示する必要があります。
VORTEILScardの種類と金額(2025年)
ÖBB VORTEILScard Classic
条件なしで作ることができます。
年会費は71,00ユーロ。
ÖBB Vorteilscard Jugend
26歳未満(25歳誕生日の前日まで)の方が作ることができます。
年会費は19,00ユーロ。
ちなみに6歳から14歳(15歳誕生日の前日まで)は子供料金として50%割引が適用されます。
ÖBB VORTEILScard Family
最大4名までの15歳未満(14歳誕生日の前日まで)の子供の運賃が無料になるチケット。
同行する大人の運賃は対象外なので、例えばご夫婦とお子さん2名の場合、お父さんとお母さんがVORTEILScard Classicを一枚ずつに加えVORTEILScard Familyを一枚買うことでお子さん2名の運賃が無料になるということです。
年会費は19,00ユーロ。
ただし子供だけでの乗車時には利用できず、最低一人は大人が同伴することが条件となります。
ちなみに家族でなくても利用できるので、友達のお子さんと利用するといったことも可能です。
VORTEILScard Senior
65歳以上の方が作ることができます。
年会費は29,00ユーロ。
なお、生活保障や補足手当を受給している方は「Vorteilscard Senior:in Frei」という無料のVORTEILScardを受け取ることが出来ます。(運賃の割引率は同じ50%ですが、高齢者向けの追加割引特典もあり)
ÖBBのチケットカウンターでのみ受け取り可能で、資格証明書の提示が必要です。
障害のある方向けの割引
オーストリアで発給される、以下の情報が記載された障がい者手帳または重度戦争障がい者手帳がをお持ちの方は、VORTEILScardなしでも50%割引が適用されます。
- 障害の程度が70%以上であること
- 証明書:”Der:die Inhaber:in des Passes kann die Fahrpreisermäßigung nach dem Bundesbehindertengesetz in Anspruch nehmen.”(訳:パスの所持者は、連邦障がい者法に従って運賃の割引を請求できます。)
https://www.oebb.at/de/reiseplanung-services/barrierefrei-reisen
VORTEILScardって元取れるの?
以下のページで出発地・目的地とVORTEILScardの種類を選ぶと、何回乗車で元が取れるか計算できます。
https://www.oebb.at/en/tickets-kundenkarten/kundenkarten/vorteilscard/vorteilscard-rechner
各路線の運賃確認やチケットの購入はこちらのページから可能です。
例えばウィーンからザルツブルグに行く場合、片道2等席の通常料金で大体60ユーロ程(時間帯や車両種により異なる)かかりますが、VORTEILScard Jugendを購入すると年会費19,00ユーロ、片道約30ユーロで50ユーロ程になり、たった1回の乗車で元が取れる計算です。割引率ガバすぎて逆に不安になります。
往復だとカード無しで約120ユーロ、VORTEILScardを使うと約80ユーロと、40ユーロ程得することに。
一番高いVORTEILScard Classicであっても、ウィーン~ザルツブルグ間であれば3回の乗車で元が取れる計算になります。
ですので26歳未満の方はほぼ確実に、大人の方も大抵の場合すぐに元が取れることが分かるかと思います。
26歳未満なら夏休みに定額乗り放題「ÖBB Sommer-Ticket」
https://www.oebb.at/de/fragen-und-antworten/sommerticket
ÖBBでは毎年6月末から9月上旬の夏休み期間中「ÖBB Sommer-Ticket」が期間限定販売されます。
これは30日間オーストリア国内をチケット料金のみで乗り放題できるチケットで、学生の方の夏休み旅行に大いに貢献してくれる優れものです。
また販売期間中は座席指定(2等席)が50%割引になります。
Sommer-Ticket金額(2025年)
年齢により購入料金が異なります。
- 20歳未満 41,00ユーロ
- 26歳未満 62,00ユーロ
Sommer-Ticketの注意点
注意点として期間中の平日(月~金)は午前8時から翌日の午前3時までが有効時間です。
つまり早朝出発の列車だけは対象外になるので注意。
週末と祝日は終日制限なく利用可能です。
昨今の乗客数の増加に伴い金~日曜日・祝日の場合は、座席の予約が必須となっています。
また、Sommer-Ticketを利用する際は上述のVorteilscard Youthも同時に提示する必要があります。
ÖSTERREICHcard
全てのÖBBと私鉄で使えるカードしたが後述のKlimaTicketに代用されることとなり新規発行は終了しています。
市内交通機関も自由に乗れるKlimaTicket
オーストリアには各市内の交通機関と都市間の交通機関全てが1枚のチケットで乗り放題になる「KlimaTicket」もあります。(詳しくはこちら)
特にオーストリア在住者の方にとっては非常に旅行や長距離通勤がしやすくなるチケットなので併せて知っておいて損はありません。(KlimaTicketの旅行者利用は現実的ではありません)
さらにÖBBではKlimaTicketのアップグレードプランをいくつか提供しています。
https://www.oebb.at/de/tickets-kundenkarten/kundenkarten/klimaticket
アップグレードすると一等席へのアップグレードや座席指定が割引になるので、長距離移動を定期的にされる方は利用してみるのも良いかと思います。
特に6月末から9月上旬の夏休み期間中限定で販売されるサマーアップグレードは料金も199ユーロと比較的良心的なので、KlimaTicketをお持ちの方は一度使って見るのも良いかもしれませんね。
オーストリア都市間の交通手段は電車が最適
これまでご紹介してきたように、ウィーンやザルツブルク、グラーツなどいくつかの都市を行き来する際には、オーストリアではほぼ電車が最適と言っても差し支えありません。
日本に比べいささか物価が高いこのオーストリアですが、何かと学生には優しい国です。
高い飛行機代がどうしても最初にかかってしまう旅行の方はもちろん、なかなか自由に使えるお金が少ない学生の方にとっても、こういった財布を傷めずに色んな場所を見られるキャンペーンや制度が揃っている国ですので、どんどん活用して有意義な夏休みを過ごす助けになれば幸いです。
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