記録に残る世界最古のクリスマスマーケット（1296年）が開催されていたオーストリアの首都ウィーン。
今日では、シェーンブルンや市庁舎前など、市内の多くの場所で煌びやかなアドベントマーケットが11月から催されています。

CNNが最近発表したランキングでは、ウィーン市庁舎前広場のクリスマスマーケットが2025年の世界で最も美しいクリスマスマーケットに選ばれたとのこと。

そんな季節を問わず観光地としても人気のウィーンですが、実は年末年始についてはあまり話題に上がることはありません。
これだけの観光地なのだから、何かしらすごい催しがあるんだろうと期待して年明けまでのスケジュールでウィーンに来られる方もいるでしょう。

ただ、実はクリスマスを過ぎると年越しの瞬間以外はそこまで盛り上がることはなく、粛々と年越しの準備をしていくようなムードが漂いはじめます。

それに対し観光地としての人気はこの時期も高く、変わらず多くの観光客で賑わいを見せるのは想像に難くありません。
お店が閉まりがちな中で多くの人々が開いているお店に集まるため、タイミングやどこを訪れるかをよく吟味しないとただ人ごみと待ち時間を過ごすだけの旅行になってしまう可能性があるということです。

今回は、年越しシーズンのウィーン観光で気を付けたいポイントや、年に一度の大晦日のカウントダウンイベントなどをご紹介します。

ショッピング通り全般の散策

ケルントナー通りやマリアヒルファー通り、グラーベンなど街の中心とも言える通りは多くの観光客で賑わっていますが、実は多くのお店では年末年始は完全休業。
大体は12月30日あたりが年内最終の営業日になるお店が多いです。

旧市街のカフェやレストランなどは一部開いているものの、中心部から少し離れると開いているお店を探す方がとたんに難しくなるほど。

お土産探し・ブランド店巡りなどは無駄足になる可能性が高いです。訪れるなら年末年始は避けましょう。

もちろんこれはスーパーやドラッグストアも同様。
ヨーロッパ旅行に慣れている方や地元民からすれば当然とは言え、日本の感覚では気に掛けることすらないポイントなので注意が必要ですね。
「だいたいどこでも開いているだろう」と思っていると何もできずに立ち尽くす羽目になります。

ちなみに一部のスーパーは元旦も開けてくれるように最近はなってきているので、本当に全く日用品の買い物が出来ないというわけではありませんのでご安心ください。

日帰り郊外観光

ヴァッハウやレオーベンなど、ウィーンからは日帰りで楽しめる郊外スポットもそれなりに豊富。

ただ、地方都市や小さなめの街ではウィーン以上にお店が閉まっており、お店もレストランもカフェもほぼお休み、街の交通機関も本数が少なくなっており訪れたはいいものの何もできない可能性が高いです。

街並みが見られれば十分ということなら行かない理由はありませんが、どうせ訪れるならなるべく年越しのタイミングは外した方がおすすめ。

有名レストラン・カフェでの食事

旧市街の老舗レストラン・カフェや観光客向け有名店も年末年始は避けたいところ。
お店によってはそもそも開いていなかったり営業時間が短くなっている他、もし開いているとしても予約なしではほぼ入れないくらい混んでいるためです。

年末年始は他のレストランもお休みのところが多く、必然的に開いているレストランに観光客が殺到するため順番を待ってる間に日が暮れてしまうことから予約なしはお断りされてしまうことがあります。
「お、混んでなさそう！」と入ったら断られるという悲しい思いを元旦からしてしまうのはおすすめではありません。

予約可能なら事前にしておきたいですし、逆に元旦は観光しながらの軽食でハシゴ、2日を過ぎたらお目当てのレストランで食事をするのも良いかもしれません。
軽食スタンドであれば開いているかどうかはすぐ分かりますし、シュニッツェルゼンメルやレバーケーゼ、ケバブ、ピザ、焼きそばなど選択肢はそれなりにあります。

シェーンブルン宮殿の散策

初のウィーン観光には外せないシェーンブルン宮殿と庭園。
実は宮殿内含め365日年中無休のスポットなんですが、こちらもご想像通り年末年始は非常に混雑します。

そもそも超人気スポットなことに加え、クリスマスシーズンを超えて1月の初旬まではクリスマスマーケット兼年越しマーケットが開催されており、観光客も地元民も元旦からフルに楽しめるスポットと化しているためです。

宮殿内は時間指定の有料ツアーなのでチケットさえ購入すれば通常通り閲覧することは出来ますが、人の多さによる流れ作業感は平常時よりも強め。
ゆったりと回りたいならなるべく年越しのタイミングからはずらすか、日中なら庭園だけとりあえず散策してみるなどのスケジュールにした方が無難です。

クラシック音楽鑑賞

楽友協会・コンツェルトハウス・国立歌劇場・フォルクスオーパーなど、主要な音楽ホールは大体年末年始も公演を行っています。
立ち見はともかく座って鑑賞する方のチケットを購入してしまえば、人の混雑は関係なく楽しめる有意義な時間を過ごせます。

なお楽友協会のニューイヤーコンサートは普通には購入できずオンライン抽選で決まるほどの人気で、コンツェルトハウスの第九なども早い段階でチケットが売れていくなど、一部の超人気公演の席を席を取るためには早い段階からのアプローチが必須です。
ただ、公演内容にそこまでこだわらないのであれば、他にも直前でチケットを取れるプログラムは毎日あるので一度チェックしてみることをおすすめします。

他にもシェーンブルンやホーフブルグ、カールス教会やミノリテン教会など主要な音楽ホール以外でも年末年始のコンサートを行っているスポットがあります。

特に教会音楽はオルガンや聖歌などが多く、お値段も手ごろで荘厳な雰囲気と相まってなかなか日本では味わえないものなのでおすすめ。

上述の人気スポットでの公演が取れなかった場合はこちらもチェックしてみてください。

美術館・博物館鑑賞

美術史美術館・アルベルティーナ・ベルベデーレなどをはじめ多くのウィーンの美術館・博物館は年末年始も営業しています。
絢爛な王宮や宮殿のツアーと異なり、これらの施設はこの時期でもそこまで混むことはないため、落ち着いた散策タイムを過ごしたいならおすすめの選択肢です。

スパでリラックス

もし水着になるのに抵抗が無ければ、市内のスパに行ってみるのもおすすめ。
Therme Wienなど最寄りのスパで年末からのんびりする地元民も実は多く、混雑することもそうそう無いためリラックスして1年の疲れを癒すことが出来ます。

大晦日の深夜マーケット

https://wienersilvesterpfad.at/

大晦日には、シュテファン大聖堂前・市庁舎前・プラーター遊園地などウィーン市内でも特に人の集まるスポットがあります。
年越しのタイミングにはみんなで一斉にカウントダウンが始まり、市内各地から大きな花火が上がりどこにいても明るい空が見えるほどで非常に印象的な瞬間です。

多くはクリスマス市の延長として1月6日ごろまで毎年開催されているSilvesterpfadと呼ばれるもので、特に大晦日（Silvester）に一番の盛り上がりを見せるイベントです。
屋台やDJステージ・クラシックコンサートなどでワイワイ盛り上がりながらカウントダウンを迎えられるので、かなりの一体感が楽しめます。

開催場所

• Rathausplatz（ウィーン市庁舎）
• Freyung
• Am Hof（アムホーフ）
• Graben（グラーベン）
• Stephansplatz（シュテファン大聖堂前）
• Kärntner Straße（ケルントナー通り）
• Neuer Markt
• Prater（プラーター公園）

https://wienersilvesterpfad.at/plan/

上記は市が運営するSilvesterpfadで、この他にも宮殿や庭園などで開催されている場所もあります。

ちなみに各スポットには仮設トイレも設置されています。（遅い時間だとお店も閉まっているので他に寄れるトイレの選択肢は非常に少ないです…）

また、12月31日の午前中はリンク内で開催される大晦日ランのためトラムやバスの運行が一部変更になりますが、大晦日は地下鉄は通常通り運行、多くのトラムとバスも終夜運行するので家やホテルに帰れなくなる心配はありません。

ただし混雑が予想されるため一部の路線では運行間隔が短縮されます。
特にStephansplatz駅は安全上の理由から12月31日午後9時から閉鎖されるのでご注意。

開催期間
12月31日午後2時～1月1日午前2時頃

1月1日の11時頃からはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートが生中継されます。
後述の通り、このコンサートは生で見たくても見られないくらい倍率の高いチケットなので、大抵はこういったスクリーンや家のテレビ・PCなどで視聴するのが通例です。

ちなみにコンサートが待てない方は一足先にワルツを踊ることも可能です。

スリに注意

非常に混雑する場所のため、スリの被害も後を絶ちません。
もしカウントダウンに参加する際は、最低限の現金だけ持って行き盗られても痛くない工夫をしておくことをおすすめします。

元旦のウィーンは少なく回るほど贅沢

元旦に出来ないウィーン観光はそれなりにありますが、元旦にしかできないウィーン観光はさほどありません。
地元民も外には散歩に出る程度で基本は家で家族と過ごすことがほとんどと言っても差し支えないくらいです。
観光で訪れる方も、スポット巡りは2日以降にしてぜひまったりムードのウィーンを満喫してみてください。

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