【免除申請方法も】オーストリアでの2024年以降のテレビ受信料と支払わないといけない条件
オーストリアでは2024年から受信料の法改正があり、国民全員に大きな動揺を与えたことは在住者の方ならご存じのことと思います。
2025年現在でもまだその話題はくすぶることなくしばしば見かけますが、多くの不満を受けつつも徐々に動き出したこの受信料について今回ご紹介したいと思います。
特にこれからオーストリアに留学・赴任される方は予め知っておかないと余計な費用を払う可能性があるので、ぜひチェックしておくことをおすすめします。
そもそも受信料ってなんの料金?
オーストリアで見る事が出来るテレビチャンネルの中に、ORFという公共放送局のチャンネルがあります。
テレビ環境にもよりますが選べるORFチャンネルにはいくつか種類があり、映画やドラマ・スポーツやニュースなどを幅広く放送する「ORF1」、ニュースや文化番組などがメインの「ORF2」、芸術や文化・現代史・時事問題などがメインの「ORFIII」、スポーツ専門の「ORF Sport+」とこれらのHDバージョンのチャンネルがあり、一言に公共放送といってもかなり幅広いコンテンツを放送しています。
また、ラジオでもニュースなど総合的な内容を扱うÖ1、9つの州ごとにチャンネルを分けているÖ2、ポップミュージックを扱うÖ3、ポップやトレンドを扱うFM4などがあり、特にÖ3はラジオを聴く層なら間違いなく聞いている人気のチャンネルの様です。(私はラジオは聞かないので詳しくありませんが…)
そして、テレビでもラジオでも関係なくORFを視聴する人は毎月一定額の受信料を払ってくださいね、という決まりが大前提として存在していました。
2023年までのORF受信料システム
日本で一人暮らしの経験がある方なら既に察していると思いますが、この「ORFを視聴する人」というのは実際にチャンネルを視聴しているかどうかではなく、テレビやラジオを持っているかどうかで決まっていました。
何も知らずにオーストリアで暮らしていると、ある日夜7時ごろに突然ピンポンが鳴ります。
「こんな時間に誰だろう…?イヤだな~、怖いな~」と無防備に玄関のドアを開けると「GISです。ここにテレビはありますか?」と部屋に上がられ、テレビを発見すると「受信料契約をしてください」と言われるわけですね。
料金はテレビとラジオ込み、あるいはラジオのみの契約で異なり、また州ごとにも異なりますが、ウィーンの場合で月額26.33ユーロを支払う必要がありました。
ちなみに一人暮らしの経験が無い方もいると思いますので補足しておくと、本来テレビというのは買ってきて線を繋ぐだけでORFを含めほとんどのチャンネルの視聴が可能で、受信料契約があるかどうかは一切関係がありません。
また、受信料契約は契約した日から支払いが発生しますが、それによって視聴できる内容が豪華になったりという事もありません。
つまり、そういうことです。
GISとOBS
2023年までは、この契約業務をGebühren Info Service GmbH(GIS)が代行しており、言ってしまえばみんなの嫌われものでした。
訪問を受ける側からすればこの人たちが家に来て嬉しいことは一つもないですし。
日本でもNHKの戸別訪問は2023年で全廃となったようですが、オーストリアでも同じ2023年でこのGISの訪問は無くなりました。
しかし「これでGISがもうこなくなったぞ」とつかの間の安堵も空しく、新たにOBSという会社がORF拠出金というシステムで徴収することとなったのです。
2024年からのORF受信料システム
先に一つだけ新システムのメリットを挙げておくと、職員がみなさんの家を訪問することはもうありませんので、突然の訪問に驚くことはなくなりました。安心ですね。
でもそれはなぜか?
それはオーストリアに住む全員から問答無用で徴収することにしたからです。
ORF受信料ではなくORF寄付金あるいは拠出金(ORF-Beitrag)と呼ばれるこの料金は、もはやテレビを持っているかどうかすら問わずオーストリアに住所を持っていれば(世帯毎に)自動的に支払い通知が送られてきます。
オーストリア国民の反応
「テレビ料金支払いたいのにどうしたらいいの!?」と悩む必要がなく、勝手に向こうから送ってきてくれるわけですから便利な世の中になったもの…。
なんて関心をするはずもなく、多くの国民が強制的な徴収に怒りを爆発させることに。
ORF寄付金はGISの受信料に比べ少し月額費用が下がることになったので、元々GIS料金を支払っていた人からすれば逆に嬉しい話ですが、お察しの通り元々支払っていた人々の割合はそこまで多くなかったようで、突然降って湧いたいわば税金が憎たらしく非難されるのは当然のことでした。
また、こういったシステムの大刷新にはつきものの移行時の不具合などが重なり、2024年以降(2025年現在でも)多数のクレームや裁判などが起きていることはしばしばニュースにもなっています。
レストランやホテルでもないのにGoogleマップ上のOBSには多数の口コミ評価が付き、異例の平均星1がついていたりと不満の大きさが伺えるところです。
2024年1月1日からのORF寄付金額
州によって州税が加算されるため異なりますが、ウィーンやザルツブルクなど多くの州では州税がゼロのため月額15.30ユーロ、一番高いシュタイアーマルク州で月額20.00ユーロです。
デフォルトの年1回のまとめ払いの他、年6回・年2回払いもありますが、月あたりの料金は変わりません。
以下のページで確認できます。
https://orf.beitrag.at/faq/allgemein
ORF拠出金支払いの対象者
ここからが本題です。
OBSの公式サイト
https://orf.beitrag.at/
この料金を支払う義務があるのは、オーストリアに主たる住居を持つすべての世帯です。
法定年齢(18歳)に達しており、住所登録されている人は誰でも支払い義務があります。
学生も払う必要があるの?
18歳以上の方であれば基本的には支払い義務の対象です。ただし後述の免除の対象に該当すれば支払う必要はありません。
もちろん留学をされている方が日本に帰国する場合は支払う義務も無くなりますが、その場合でも登録解除の手続きは必要ですのでご注意。
ORF拠出金支払いの免除対象
①所得が一定以下の場合
児童手当、奨学金・給付金、見習い手当、介護手当、年金、失業手当、生活保護手当、その他公的資金による給付を受け取っており、かつ一定の世帯収入以下の方が対象です。
オーストリアに住む日本人の方の割合で最も多いであろう留学生の方にとっては、この奨学金・給付金を受け取っているかがカギとなります。
免除申請のためには各種給付証明書を提出する必要があります。
https://orf.beitrag.at/befreiungsrechner/anspruchsgrundlage
また、「一定の世帯収入以下」の条件は2025年は一人世帯で毎月1,426.87ユーロ、二人世帯で2,251.03ユーロ以下が条件となり、人数が増えるごとに220.16ユーロが上限額に加算されていきます。
もし免除になるかもという方は、以下のページにて免除対象になるかの計算が出来ますのでまずはチェックしてみて下さい。
https://orf.beitrag.at/befreiungsrechner
免除対象であってもちゃんと手続きしないと自動的には適用されないのでご注意。
免除申請は郵送やメール添付、オンラインフォームで提出可能です。
https://orf.beitrag.at/faq/befreiung
②自身が住居の契約者ではない場合
学生寮やシェアハウスなど、自分自身がその家やアパートの契約者ではない場合は支払う義務はなく、物件の所有者・契約者が代表して支払う事となります。
ただし、物件の家賃にORF拠出金が分割された額が上乗せされることも十分あり得ますので新たに物件を契約する際はチェックしてみることをおすすめします。
登録手続きをしないとどうなるの?
自分自身が世帯主の場合、上述の通り自動的に支払い通知書が送られてきます。
また、この場合注意が必要なのが支払い通知書は大抵遅れてくるという点です。
例えば3月にオーストリアに引っ越してきてMeldezettelを役所に提出した場合、支払い義務は3月から勝手にスタートします。
ところがこの遅れてやってくる支払い通知が仮に12月に送られてきた場合、初回の支払い金額はその年の3月分から12月分までに加え、翌月以降の分(金額は支払い回数によって異なる)、さらには遅延料金(支払い額の10%)を払う必要があるという事です。
ちなみに初回の通知は翌月以降の分を年払いを想定しているため400ユーロ弱になることも多く、2024年~2025年の間多くのオーストリア人が突然の請求に驚きと怒りを募らせたことも話題となりました。
そもそもテレビを見ない方からするとかなり疑問に思う新制度ですが、免除に該当しない場合最も安心・安全なのは引っ越してきた段階で自分から登録をするということになります。
登録はどうやってするの?
以下のページから可能です。
名前や住所を入れていくだけなので難しい所はないと思います。
https://orf.beitrag.at/registrieren
ちなみに元々GISで料金を支払っていた人は自動的に登録情報が引き継がれます。
登録解除はどうやってするの?
登録情報の変更や解除、引っ越しなどの手続きは以下のページから可能です。
https://orf.beitrag.at/aendern
登録解除は免除ではない
登録解除が出来るならそれで支払わなくて良い…とは残念ながら、そして当然ながらならず、支払い義務の免除が認められない限り請求書は必ず来ます。
現状円相場が安く、私たち日本人、特に親からの仕送りや日本で貯めた貯金を留学資金に充てている学生の方からすれば年間200ユーロ前後は決して安い金額ではありません。
しかし学校での手続きや銀行口座の開設をはじめ、ほとんどの手続きには住所登録が必須であり、住所登録を済ませると免除対象にならない限り支払い義務が影のごとく引っ付いてきます。
「テレビなんて見ないのに払いたくない」とはみんな思っています。しかし上述の通り、無視していても不利なことにしかならないので、オーストリアで暮らし始める際には必ず登録を忘れないようにしましょう。
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