オーストリアに限らず、海外では一般的にNGマナー行為とされるのが「音を立てて麵をすする」こと。
我々日本人もそれは重々承知しています。
逆に日本でラーメンやお蕎麦を食べる時は麵をすすることに抵抗は無いですし、なんなら豪快に音を立てて食べた方が良いみたいな話も聞いたことがある方が多いのではないかと思います。
普通に暮らす分には食べるものに合わせて使い分ければ良いだけの話なのですが、オーストリア、というか海外在住の場合には迷う時がありますよね。
そう、「海外にある日本食のレストラン」の場合です。
オーストリアでも昨今ではかなり日本食が広がってきていて、ウィーン市内だけでも相当数の日本食レストランがオープンしています。
その中にはもちろんラーメン屋や蕎麦・うどんを提供するお店もあり、特にラーメンに関しては日本国内と同じくスープや麺の派閥(?)の違いによる味の差を楽しむことが人気の後押しをしています。
そこで問題になるのが先ほどの麵すすりの文化。
海外ではNGマナー、日本では無問題と真っ向対立な文化の一つで、どちらが優先されるべきかの睨み合いはいまだ決着がついていません。
ちなみに同じアジアの隣国で箸+麺文化もある中国や韓国でも豪快に麺をすするのが良しとはされていない様です。(全くすすらない訳ではないようですが)
麵をすすることの理由についてググってみたりすると
- 空気と一緒に食べることで、麺やスープの風味が鼻を突き抜ける
とか
- 麺をすすることで、瞬間的にちょうど良い温度に冷ましながら食べることができる
等々、「まぁ言われてみれば確かにそうかもしれない…か? 😕 」くらいのそれっぽい理由を見つけることができます。
逆に「ヌードルハラスメント(ヌーハラ)」という言葉も過去話題になりました。
音が不快、汚い・下品な食べ方、そもそも音を立てて食べる行為が違反な西洋マナーを中央突破してくる等の理由からのものですが、しかし実際にはこういう言葉(概念?)自体は海外には存在しないなんて噂も。
海外のラーメン屋という立ち位置
例えばオーストリアにあるイタリアンレストランで、スパゲッティをすすって食べるのがNGなのは想像に難くありません。
また、日本にあるイタリアンレストランでもスパゲッティを豪快にズゾゾゾゾ!っと蕎麦の様に食べてれば「え、何あのひと~…」くらいの白い目で見られるのは容易に想像できると思います。
なぜならパスタはイタリア料理なので、イタリア人のマナーに沿うべきという考えが根底にあるためです。
しかし、その理屈で言うなら海外の、オーストリアのラーメンレストランでは、日本のマナーに沿って音を立てて麺をすすって良いのでは? 🙄 ってことになりますよね?
逆に「郷に入っては郷に従え」という意見ももちろんあり、オーストリアにいるのだからオーストリアの食事マナーを守るべき、ってのは正当な意見の様に思えます。
大事なのはマナー自体ではなく…
個人的な意見ですが、オーストリアにあるラーメン屋でどちらの国のマナーに準拠するべきか、という事が重要なのではなく、周りに「麺をすする音」が不快に感じる人がいるかもしれないという事が重要なんだと思います。
なんで不快なのか?
人間の耳が根本的に受け付けない黒板を爪でひっかく音とまではいかないですが、例えば我々日本人でも周りの人の鼻をすする音が嫌という方は多いと思います。
小さい時に、よく鼻はすすらないでティッシュ使ってち~んしようね 😉 、と大人から教わりましたよね?
多分それが「鼻をすするのはよくない」→「鼻をすする音自体が嫌」と感じてしまうのではないかと。
似たようなものとして
- お皿とナイフ・フォーク等の食器をガッチャガッチャ音を立てて食べる
- 口を開けてクッチャクッチャしながら食べる
等が挙げられます。(2つ目に関しては視覚的な影響も強いですが)
それと同じ様に、「麺をすする(音を立てて食べる)のはよくない」→「麺をすする音自体が嫌」ってことなんじゃないかと思います。
すすり文化はそもそも知られている?
一応「日本では麺をすするのが普通」という文化の違いは海外でもある程度知られています。
ちなみにドイツ語では「schlürfen(シュリューフェン)」。
「Schlürfen Sie nudeln?」とか「Schlürfanleitung für Ramen」とか言ったりします。
ただし、文化の違いは知られていても、知った上でその是非は人によって考えが異なるのは知っておく必要があります。(中には豪快にすする音が好きっていう海外の方もいるみたいです)
じゃあラーメン屋でどう食べるか
本題ですが、それじゃあオーストリアのラーメン屋ではどう食えってんだよ!の答えとしては
- 基本は音を立てない。けど周りに不快を与えない程度なら状況に応じて可。
だと思います。私が思うに、ですが。
マナーの根底にある「他人に不快感を与えないため」という理由は国は違えど同じなはずです。
麺をすすらないと不快に感じる人は周りにいなくても、麺をすすると不快に感じる人が周りにいるのであれば、文化の背景云々は関係なく一歩引く側は明らかですし、その気配りができる方がカッコイイですよね。
実際には、日本で生まれ育った日本人であれば小さい頃からたくさん麺をすすってきたおかげでススリスキルのレベルはカンストしていると思いますので、すする勢いや音の調整程度なんの問題もなくできるかと思います。
であれば、周りの方への配慮 + 自分の服への配慮としてサイレントススリや、スソッくらいのソニックススリも簡単なはずです。
私の場合、例えばカウンター席ですぐ隣とかに他のお客さんがいる場合はなるべくすすらずに、麺を箸で玉のように束ねあげて一口で食べたり(語彙力…)、ゆっくりとすすって音を出さないようにしたりしてます。
あるいはレンゲに一口分まとめて食べやすくするとかですね。
周りに他のお客さんがいない場合でも、すする際はチュルッくらいに抑える様心がけてます。
逆にそれくらいの0.5すすりならオーストリアの方もやってるのはちらほら見ますし、少なくともこっちにあるラーメン屋ってそんなに静かなお店でもないので、音を立てないといってもあまり神経質になる必要はないかと思います。
まぁすんごい静かな場所だったりしたら別かもしれませんが、静かなラーメン屋自体見ませんし。
あとは、隣の人がメッチャすすってる場合ですね。
あんまりガン見はしませんが、こういう方って大体日本慣れしてるというか箸の使い方も私より上手い人が多く、運良く(?)隣にあった場合は比較的気にせずすすれるシチュだと思います。
海外のラーメン屋で個人的に一番大事だと思う事
各席にティッシュ置いといて欲しいです…。(鼻がヤバい…)