「お腹空いたな…たまには天ぷらでも作るか…」
そう思い立ってスマホでクックパッドを眺めながら近くのスーパーに来たは良いものの、「そういえば薄力粉って…どれ?ドイツ語で何…?W480てなんなんだよ!」という状況の方ももしかしたらいるかもしれませんので紹介します。
なお、日本の薄力粉に限りなく近いものはもちろん売っているものの、厳密に薄力粉というものはオーストリアには売ってないです。
麦の種類
まずオーストリアのスーパーには小麦粉以外も売っているので麦の種類も知っておく必要があります。
Weizenmehl
小麦粉です。単に「Mehl」と言う時は大体これのことを指します。
Roggenmehl
ライ麦粉です。小麦粉ほどではないものの、こちらでは粉もライ麦パンも安く買えますね。食物繊維と葉酸が多く含まれています。
Dinkelmehl
スペルト小麦粉です。何だか聞き慣れないモノですが小麦の原種にあたる古代の穀物らしく、グルテンフリーではないものの小麦アレルギーが発症しにくく、さらに消化にも良く栄養価も若干高いというグレートな小麦粉ですが、他に比べお値段も若干高いです。
Buchweizenmehl
そば粉です。もちろん年越し蕎麦もこれで作れます。(しかし蕎麦麺作るのは大変難しい…)
小麦粉じゃない粉に注意!
スーパーでは粉コーナーにまとめて陳列されるためうっかり間違えないようにしたいのがこれら。
Kartoffelmehl
「Kartoffel」はジャガイモの意味ですがこれは片栗粉です。
Kartoffelstärkeとも呼ばれます。
Maismehl
「Mais」はとうもろこしの意味でこっちはコーンスターチです。
Maisstärkeとも呼ばれます。
Stärkemehl
料理の用途としては上記2つとほぼ同じですが食用でんぷんです。
Speisestärkeとも呼ばれます。
粉の粗さ
次に粗さを知っておく必要があります。我々日本人が薄力粉と強力粉を使い分ける最大の要因である「粘り」の強さに直結する部分です。
- glatt – 細かい
- universal – glattとgriffigの中間
- griffig – 粗い
- doppelgriffig – 超粗い
一概には言えませんが粗いほど粘りがありパン向きになってきます。(=強力粉)
逆に「glatt」の細かいタイプは薄力粉に近いものです。
なお、この粗さはWeizenmehlだけに使われるものでRoggenmehl等には使われません。
ミネラルの含有量
ここからちょっと細かい話になってきます。 🙁
日本の小麦粉は「薄力粉」「中力粉」「強力粉」と粘りの強さ(グルテンの量・性質)で分けられていますが、この分類基準はタンパク質の含有量によるものです。(薄力粉はタンパク質の量が少なく強力粉が多い。「軟質小麦」「硬質小麦」とも呼ぶそう)
しかしオーストリアではタンパク質ではなく「ミネラルの含有量」が基準になります。
よく見る480とか700とかの数字はその小麦粉100g当たりのミネラル含有量(mg)を示す数字だったのです。
ミネラル?多いとどうなるの?
ミネラル含有量が多いほど色が暗く濃くなります。つまり黒パンを作りたい時等にはこのミネラル数値が高い粉を選ぶと良いわけです。
このミネラルは小麦の胚乳だけでなく表皮、胚芽も粉にしてしまった方が多くなります。
それが健康ワードでよく聞く全粒粉で「Vollkorn」と呼ばれます。
実際のパッケージの表記とその見方
ここまで来ればあとは簡単です。いくつか本物を見てみましょう。
https://www.cleverleben.at/suche?SearchTerm=mehl&topic=
これはBillaの有名ブランド「clever」の小麦粉ですが、例えば
「Gratt Type W480」とは粉が細かい「Gratt」のWeizenmehlでミネラル含有量が480mg/100gという意味です。
https://www.janatuerlich.at/Sonderkapitel/Produkte/Produkte/Portal.aspx?produkt=202
こちらのブランドもよく見るかと思います。Bioで有名な「ja!Natuerlich.」です。
Roggenmehlでミネラル含有量が960mg/100gという意味ですね。
ドイツとの違い
実はお隣のドイツもこのカテゴリ分けで小麦粉を選ばなければならない国なのですが、オーストリアとドイツではよく使われるミネラル含有量の数字は違うようです。
- ドイツのType 405 = オーストリアのType W480
- ドイツのType 550 = オーストリアのType W700
- ドイツのType 1050 = オーストリアのType W1600
- ドイツのType 815 = オーストリアのType R500
- ドイツのType 997/Type 1150 = オーストリアのType R960
ドイツの方はTypeに麦の頭文字を付けないんですね。
冒頭の天ぷらを作りたい場合はType W480 Grattを買ってこれば大丈夫ですが、他のレシピで小麦粉が必要になった時でもこれらを知っておけばもう迷うことはありません。
ちなみに全然関係ないですがせっかくオーストリアで天ぷらを作るのであれば、安く手に入るビールや炭酸水を衣に使って作るのがおススメ。