【2か所回れば元が取れる】在住者にもおすすめのNiederösterreich Card
オーストリア観光と言えばウィーン?ザルツブルグ?
あるいはグラーツやインスブルックを推す方もいるかもしれません。
華やかな街並みやカフェ・伝統料理などがこの国を観光する醍醐味ですよね。
しかし、人によっては自然を推す方もいます。
特にスキーや湖畔の街並みでもオーストリアは有名な観光地なんです。
その中でも、ニーダーエスターライヒ州という玄人向けの観光地域があることはご存じでしょうか?
オーストリアに住んでいる在住者の方であれば「あぁ、あのへんね…」となんとなく知っている方も多いとは思いますが、実際にこの地域の散策をどっぷりしたことがある人は、おそらくほとんどいないと思います。
なんせみんなウィーンを見て帰ってしまうので。
ですがこの地域にも実は多くの隠れ名所がたくさん隠れていて、オーストリア人は休暇と言えばみんなこっちに来るくらい人気のエリアなんです。
今回はこのニーダーエスターライヒ州をお得に回れる定額のチケットについてご紹介します。
Niederösterreich Cardとは?
Niederösterreich Cardは、ニーダーエスターライヒ州内および周辺の365か所(2025年現在)の観光地に1回ずつ無料で入場できる観光カードです。
提携している多くの施設やアトラクションは名前の通りニーダーエスターライヒ州のものがほとんど。
しかしニーダーエスターライヒ州内だけではなく、ウィーン、ブルゲンラント州、シュタイアーマルク州、オーバーエスターライヒ州など周辺地域の観光スポットもいくつかカバーしているため、もしニーダーエスターライヒ州への観光に興味が無くても利用すればお得になる可能性があります。
このカードを利用できる施設一覧は以下のページで確認できます。
https://niederoesterreich-card.at/alle-ausflugsziele
「Filter」のボタンからRegionen(地域)などで絞り込みが出来る様になっています。
ニーダーエスターライヒ州ってどこ?
以下はオーストリアを州ごとに区切った図です。
ニーダーエスターライヒ州はオーストリアの北東部あたりですね。
なお、図からも分かる通りニーダーエスターライヒ州とウィーンは州としては別々の地域になります。
そのため、前述の通りこのカードを利用できる施設にはウィーンのものもありますが、数としてはそれほど多くはありません。
ちなみに余談ですが、ニーダーエスターライヒ州は大きく分けて以下の4つの地域に分かれています。
- Waldviertel
- Weinviertel
- Industrievietel
- Mostvietel
Wein(ドイツ語でワイン)、Industrie(ドイツ語で工業)など、歴史的には地域ごとに行政上の役割が分かれていたことが名前から察せられますが、今現在ではそういった意味は持たず純粋に地域名としてのみ名残が残っています。
ニーダーエスターライヒってどんなところ?なにがあるの?
都会さ・華やかさで言えばウィーンが一番かもしれませんが、もう少しまろやかな(?)…高台のお城や川沿いの修道院、自然に囲まれた美術館や中世の旧市街など落ち着ける雰囲気の観光スポットがたくさんあるエリアです。
しかしこのカードが作られた理由にも関係がありますが、ニーダーエスターライヒ州自体ウィーンやザルツブルグなどより知名度が低いため、このオーバーツーリズムの時代ですらせっかくの多数の観光スポットに人が集まらないという事情があります。
正直訪れる側としては人がいない方が回りやすくて良いのですが、州内の各観光地を活性化させるためにこのカードが作られたわけですね。
Niederösterreich Cardの有効期限
以前ご紹介したVienna City CardやVienna PASSなどのように有効期限が短いものだと、時間と元を取るための算段を立てる必要がありましたが、このカードの有効期限はなんと1年間。
ただし購入日から1年間というわけではなく、4月1日から翌年3月31日までという区切りになっています。
また、11月1日から12月31日の期間はクリスマスプロモーションを行っており、この期間中にNiederösterreich Cardを購入するとカードの有効期間は12ヶ月ではなく15ヶ月(翌年1月1日から3月31日まで)になります。
有効期間が3ヶ月分長くなるメリットはありますが、「各観光地に1回ずつ無料で入場できる」という条件自体は変わらないためご注意。
そもそも1年間というかなり余裕のある有効期間ですので、3ヶ月お得になるというよりは1月~3月という動きにくい冬の期間に出かける猶予が2回来る点が最大のメリットですね。
Niederösterreich Cardの価格
毎年若干変動する様です。
2025年度の価格
大人用新規 83ユーロ
大人用更新 78ユーロ
ユース用新規 44ユーロ
ユース用更新 41ユーロ
ユースカードは6歳以上16歳以下、17歳以上は大人用料金になります。(17歳の誕生日前に登録・更新の場合はシーズンの残りの期間中有効)
また、大人用カードがあれば6歳未満の子供3名まで無料で同伴可能です。
なおオンラインで注文した場合の送料は無料です。
Niederösterreich Cardの購入方法
カードにはスマホ等で管理するデジタルのものと手に取れるカードの2種類があり、デジタルカードは以下のオンラインショップでのみ購入可能です。
https://card-webshop.feratel.com/noe01/default/
なお、購入時にカタログ本も一緒に選んでおくと登録した住所宛に送ってくれます。
オンラインカタログはこちら。
https://niederoesterreich-card.at/online-katalog
対して実物カードは以下の場所で購入できます。
- オンラインショップ(郵送配送・送料無料)
- ウィーンとニーダーエスターライヒ州の提携タバコ店
- ニーダーエスターライヒ州のライファイゼン銀行支店
- ニーダーエスターライヒ州とウィーンのOMV系列のガソリンスタンド
- 提携観光スポットの販売店など
ドイツ語慣れしているオーストリア在住者の方であれば銀行支店でも良いですが、観光で来られる方には若干勇気がいるかも。
おそらく一番楽なのはデジタルカード同様オンラインでの事前注文か、ウィーンやニーダーエスターライヒ州にいらっしゃる方であればお近くのタバコ店(Tabak)で大体売っていると思います。ガソリンスタンドに行くことはそうそうないでしょうし。
Niederösterreich Cardの有効化手順
まずオンラインでも実物でもカードを買ってきましょう。
そのカードに記載されている番号が必要になります。
https://card-webshop.feratel.com/noe01/default/index.jsp?mode=mycard
上記登録ページにて「CARD-Registrierung」の所でカード番号とメールアドレスを入力します。
その後住所などの個人情報を入力し登録が完了するとPINコードが記載されたメールが届きます。
次にスマホに以下の公式アプリをインストールしましょう。
https://www.niederoesterreich-card.at/faqs-app
アプリを立ち上げて、「Account erstellen」からメールアドレスとパスワードを入力して登録。
登録確認メールが届くので文面内のリンクをクリックしてアカウント登録完了に。
再度「CARD hinzufügen」からカード番号と先ほどのPINコードを入力してカード有効化完了です。
どの観光スポットがおすすめ?
365か所と非常に数が多いのでなかなかズバリ言うことは出来ませんが、特に以下のものは見ごたえもあり価格も高いため、元を取るという意味でもおすすめです。
Schneebergbahn(シュネーベルク鉄道)
住所
Bahnhofplatz 1, A-2734 Puchberg am Schneeberg
一回43,50ユーロが無料。
歯車式鉄道に乗って、標高1,800メートルに位置するオーストリア最高地点の鉄道駅へ行けます。
文字通り絶景です。ちなみに道中、牛も見れます。
Rax-Seilbahn(ラックス=ザイルバーン)
住所
Dr. Ewald Bing-Straße 3, A-2651 Reichenau an der Rax
一回37,00ユーロが無料。
オーストリア初のロープウェイで標高1,547メートルのラックス高原へ。
体力に自信のある方はそこからハイキングに出かけるもよし、山小屋でクヌーデルを食べるも良しのスポット。
山の上なので、本当に自分の目の高さくらいまで雲が降りてくることもあります。
Schloss Hof(ホーフ城)
住所
Schloss Hof 1, A-2294 Schloßhof
入場券24,00ユーロが無料。(ガイドツアーなし)
サヴォイア公ユージンやマリア・テレジアが購入したスロバキアとの国境近くのマルヒフェルトにある宮殿。
宮殿内はもちろん、7つのテラスがあるバロック様式の庭園や、200匹以上の動物たちが暮らす様子などが見られます。
Benediktinerstift Altenburg(アルテンブルク修道院)
住所
Abt-Placidus-Much-Straße 1, A-3591 Altenburg
修道院と庭園への入場12,00ユーロが無料。
1144年にヒルトブルク伯爵夫人により設立されたバロック様式の修道院。
パウル・トロガーによる壮大な天井フレスコ画はもちろん図書館、地下修道院など、なかなか他ではお目にかかれない中世の歴史が感じられる場所です。
Schloss Esterházy(エステルハージ城)
住所
Esterhazyplatz 1, A-7000 Eisenstadt
城への入場19,00ユーロが無料。
ブルゲンラント州の州都アイゼンシュタットにある13世紀後半に建設された宮殿。
有名な作曲家ヨーゼフ・ハイドンが、生涯の大半を過ごした場所です。
世界で最も美しく、音響的にも完璧なコンサートホールの一つに数えられるハイドンザールや赤いサロン、オランジェリー、ワイン博物館などじっくり鑑賞すれば半日はかかるスポットです。
Burg Forchtenstein(フォルヒテンシュタイン城)
住所
Melinda-Esterhazy-Platz 1, A-7212 Forchtenstein
城への入場19,00ユーロが無料。
ヨーロッパ最古の博物館の一つであるフォルヒテンシュタイン城では、軍備品や伝説的なコレクションの大部分を保管していたエステルハージ公爵家にまつわる珍品や美術品・武器庫などを鑑賞することが出来ます。
Mariazeller Bürgeralpe(ビュルゲラルペ)
住所
Wiener Straße 26, A-8630 Mariazell
標高1270mの山へのロープウェイの上り下り、木こりの土地・ビーバーの水・展望台の29,00ユーロが無料。
ロープウェイを登った後は、子供も楽しめる滑り台などの遊び場や鉄道コース、ゴーカートなどが楽しめるゲストガーデンがあり、休むも遊ぶも良しのアクティビティスポットです。
Wiener Staatsoper(ウィーン国立歌劇場)
住所
Opernring 2, A-1010 Wien
ガイド付きツアー15,00ユーロが無料。
ご存じウィーン国立歌劇場の内部を観覧できるガイドツアー。
建物には興味はあるけどオペラを聞く時間はないという方にもおすすめ。
Wiener Riesenrad(ウィーンの大観覧車)
住所
Riesenradplatz 1, A-1020 Wien
パノラマ美術館への入場1回と観覧車1回乗車14,50ユーロが無料。
ウィーンの有名な遊園地プラーターにある大観覧車。
約12~15分で一回転しながら、約60メートルの高さから市内を見渡すことが出来ます。
Flughafen Wien Besucherwelt(ウィーン空港ビジターワールド)
住所
Ladehof West, Objekt 103, A-1300 Flughafen Schwechat
ツアー24,70ユーロが無料。
シュヴェヒャート空港で体験できるビジターツアー。
コックピットからの視点、スーツケースの旅、航空管制官の視点などに加え、実際の発着場をバスで回遊したりできます。
Römertherme Baden(バーデン)
温泉3時間券21,90ユーロが無料。(サウナなし)
住所
Brusattiplatz 4, A-2500 Baden
ベートヴェンも滞在・養生したというオーストリアの温泉保養地として有名なバーデンの温泉施設。
ただし行って帰ってくるだけで1日かかる
お住いの場所・ホテルの場所にもよりますが、ウィーンなど都心部にあるものを除き大半は山の上だったりバスの乗り継ぎでやっとたどり着ける場所にあったりします。
そのため1日2日で何ヵ所も回るのはなかなか難しく、この日はここを見てこよう!という感じで1か所ずつ日にちをかけてみて回るスケジュール感が必要になってきます。
特に上記でご紹介したような山頂への鉄道・ロープウェイ系は行けるかどうかが季節や天気に大きくされがちですので、「絶対にこの日に行く」ではなく、前日の天気予報を見て行くかどうか決める「行けそうなら行く」精神が肝要です。
旅行者には不向きかも?
上述の理由から数日~1週間程度の期間中に、このカードの元を取るために複数のスポット(仮に2か所だけであっても)を巡るのはかなり天候運も気力も体力も必要になるのは容易に想像がつくと思います。
そのため、どうしても滞在期間が縛られてしまう旅行の方にとっては、このカードを買うべきかどうかは微妙と言わざるを得ません。
そもそもオーストリアには何度も来ていて、ニーダーエスターライヒ州をメインに今回は観光すると決まっているような旅程の方であればやっとというところでしょうか。そんな人いるのか…
逆に在住者の方であれば有効期間の1年間をフルに活用できるので数か所巡るのはそう難しいことではないですね。
ニーダーエスターライヒ州の観光スポットは私たち外国人からはまだまだ知られていない場所がたくさんあるので、ウィーンなどの都会の華やかな観光じゃなくてもっと自然を楽しみたい、チルいお城や修道院を探索してみたいという方はぜひこのカードをタバコ屋さんで探してみて下さい。
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