【チケット比較】ベルヴェデーレの見どころと歩き方
ホーフブルク王宮やシェーンブルンなどと共に、ウィーン観光の名所の一つとして知られるベルヴェデーレ。
上記らがハプスブルク家に由来する名所なのに対し、ベルヴェデーレはサヴォイア家のオイゲン公のために建てられたものという大きな違いがあります。
オイゲン公とは、17世紀から18世紀にかけてオーストリア大公国に仕官し活躍した将軍で、その功績から政治面でも大きな力を持っていた軍人です。
公式な行事などに利用された上宮、オイゲン公の夏の離宮として利用された下宮、そしてそれらの周囲を囲む庭園。
バロック時代の様式が光るこれらのエリアに、現代美術館の一つベルヴェデーレ21を加えてベルヴェデーレと呼ばれています。
今回は、このベルヴェデーレの見どころやチケットなどをご紹介します。
ベルヴェデーレの公式サイトはこちら。
初めて訪れる方は混乱しやすいのですが、上述のようにベルヴェデーレとは宮殿と庭園の総称で、一般的に「ベルヴェデーレ宮殿」と言う場合は最も見ごたえがあるベルヴェデーレ上宮のことを指す場合が多いです。
ベルヴェデーレの全体図
ベルヴェデーレでは、大きく分けて以下の3つの建物と、3つの庭園を訪れることが出来ます。
またベルヴェデーレ外ではあるものの、2つの著名な庭園が隣接しています。
ベルヴェデーレ内の建物
- Oberes Belvedere(上宮)
- Unteres Belvedere(下宮)
- Belvedere 21(美術館)
ベルヴェデーレ内の庭園
- Schlossgarten
- Kammergarten
- Skulpturengarten
ベルヴェデーレに隣接する庭園
- Botanischer Garten
- Alpengarten
それでは一つ一つ見て行きましょう。
Oberes Belvedere
住所・アクセス
Prinz Eugen-Straße 27, 1030 Wien
トラムD「Schloss Belvedere」、電車・S-Bahn・トラム18・トラムO「Quartier Belvedere」駅での下車が近いです。
地下鉄U1「Südtiroler Platz / Hauptbahnhof」で下車後、徒歩15分でも行くことが出来ます。
ベルヴェデーレ上宮。
オイゲン公の生前には公式行事の舞台として使用されていたこの宮殿は現在、オーストリアの約800年の芸術史を物語る約400点の絵画ギャラリーとしても活用されています。
もちろんバロック様式の宮殿自体も壮大で、1階から3階までを歴史的・美術史的テーマに沿って鑑賞することが出来る作りになっています。(地下階はトイレ)
中でも特に有名な部屋は以下の通り。
Sala terrena
1階ホールで天井を支える4体の力強いアトランテ像が迫力満点のサラ・テレーナ。
美術館の入口や公園から豪華な階段が続いており玄関ホールの役割も果たしています。
Carlonesaal
北イタリアのフレスコ画の専門家カルロ・イノチェンツォ・カーロネにちなんで名付けられたホール。
もともとは暑い夏の日に社交を楽しむための場所として使われていたそう。
現在では「Carlone Contemporary」シリーズの会場としても使用されています。
Prunkstiege
大理石のエントランスホール。
宮殿の主階へと続く階段を登るところで、左右の壁に描かれているアレクサンドロス大王にまつわるレリーフが目に入る作りになっています。
Marmorsaal
赤褐色の大理石、数多くの金箔装飾、天井の大きなフレスコ画が印象的な上宮の中心部とも言える部屋。
1955年5月15日にオーストリア国家条約が調印された場所でもあります。
Schlosskapelle
当時からほぼ元の状態で保存されている八角形の宮殿礼拝堂。
当時も今も、ここではミサ(毎週日曜12時から)や教会の結婚式が行われています。
上宮内その他の施設
Schlosscafé
https://don.at/locations/schlosscafe-2/
上宮内にあるカフェレストラン。
比較的メニュー数は控えめですが、シュニッツェルやグーラシュなどのメインディッシュもあります。
どちらかと言うとスイーツの方が種類が豊富で、ザッハトルテはもちろんシシィトルテ、モーツァルトトルテ、ベルヴェデーレトルテ、クリムトトルテなど、ここならではの色とりどりなケーキが魅力のお店。
その他、お土産ショップもあります。
上宮内施設の営業時間
月~日 9:00~18:00
Unteres Belvedere
住所・アクセス
Rennweg 6, 1030 Wien
トラム71「Unteres Belvedere」、トラムD「Gußhaustraße」駅での下車が近いです。
ベルヴェデーレ下宮。
オイゲン公の居住空間として建てられた下宮では、バロック様式の豪華な部屋はもちろんのこと、生活やデザインの技術を垣間見ることができます。
中でも特に有名な部屋は以下の通り。
Marmorsaal
二階建てのホールは、もともと来客のための公式な受け入れの場として使われていたとされる大理石の間。
壁にはオイゲン公が皇帝の最高司令官として達成した大きな成功にまつわるトロフィーやアポロンの石膏メダイヨン、太陽の戦車に乗った天井画などが描かれています。
Das Goldkabinett
マリア・テレジアが鏡や陶磁器を使った金のキャビネットに改装した黄金の間。
下宮で特に豪華絢爛な場所として知られています。
Marmorgalerie
バロック彫刻家ドメニコ・パローディの作品や三体の古代の像、スタッコ装飾のトロフィー、甲冑を身に着けて中央に座るオイゲン公の天井のレリーフなどが特徴的です。
Orangerie
Goldkabinettから続く、もともとはオレンジの木のための温室庭園であるこのオランジェリーは、馬小屋、近代ギャラリー、中世美術館などに改装され、2007年以降はモダンな雰囲気の展示ホールとして、ホワイトキューブの形に改装されています。
Groteskensaal
18世紀初頭のウィーンで人気があった、グロテスク画の装飾を施したグロテスクの間。ここでは天井に四季を描き、コーナーには四元素を表現、窓のない壁には火山の鍛冶屋や三美神が描かれており、そのほとんどが当時のまま保存されています。
Prunkstall
オイゲン公の愛馬が収容されていた豪華な厩舎。
現在では、中世のコレクションから貴重な美術作品が展示されています。
下宮内その他の施設
Parkcafé
https://don.at/locations/parkcafe/
下宮内にあるカフェレストラン。
サンドイッチやソーセージセットなどの軽食、グーラシュなどのメインディッシュがあります。
ただ上宮のカフェと同じくガッツリ食べるメニューはあまり多くないため、シシィトルテ、モーツァルトトルテなどのスイーツやコーヒーで一息つく場所と思っておいた方が良いです。
その他、お土産ショップもあります。
下宮内施設の営業時間
月~日 10:00~18:00
Belvedere 21
住所・アクセス
Arsenalstraße 1, 1030 Wien
電車・S-Bahn・トラム18・トラムO・トラムD「Quartier Belvedere」、バス69A「Arsenal」駅での下車が近いです。
もとは1962年に20世紀美術館として開館した現代美術館。
現在ベルヴェデーレの名前が付いているものの、上述のようにオイゲン公やバロック様式と直接的な関係はありません。
「ベルヴェデーレ21」という名前が付けられたのも実は2018年と最近で、それ以前は「20er Haus」の名称で親しまれていました。
とは言え、現代アート・映画・音楽・イベントなどが行われるモダンなパビリオンという位置付けに変わりはなく、過去70年のオーストリアの芸術を堪能できる場所として立ち寄ってみる価値は十分にあります。
Belvedere 21内の施設
Lucy Bar
美術館内にあるカフェバー。
料理メニューは下宮のParkcaféとほぼ一緒ですが、お酒の種類は豊富。
クラシカルな雰囲気の上宮・下宮のレストランとは対照的に現代的な雰囲気の中でお酒を楽しめるので、アーティステックなムードが好きな方はこちらに寄ってみても良いかもしれません。
その他、お土産ショップもあります。
ベルヴェデーレ21の営業時間
火~日 11:00~18:00
木 11:00~21:00
ベルヴェデーレの庭園
Schlossgarten
世界で最も美しい庭園の一つに数えられる、バロック様式の庭園。
ここは緩やかな坂になっており、上宮と下宮の間に広がる対称的な花壇は実際に歩いてみても目を見張るものがありますし、坂の上の下宮から見下ろすと、よりその整然とされた対称性が美しく見えるようになっています。
営業時間
3月 7:00~19:00
4月 6:30~20:00
5月~7月 6:30~21:00
8月~9月 6:30~20:00
10月 6:30~19:00
11月~2月 7:00~17:30
入園料
無料
Kammergarten
下宮の西側に位置するオイゲン公の私邸庭園。
噴水やパビリオン、花々で飾られた豪華なパルテール(花壇)などが二つのテラスに分かれており、下宮を訪れる際には一度目にしておきたい場所です。
営業時間
月~日 10:00~18:00
入園料
下宮のチケットが必要
Skulpturengarten
国際的に有名なアーティストの作品が展示されているベルヴェデーレ21に隣接する彫刻庭園。
ベルヴェデーレ21の開館時間内であれば無料で鑑賞できます。
営業時間
火~日 11:00~18:00
木 11:00~21:00
入園料
無料
Botanischer Garten
https://botanischergarten.univie.ac.at/
1754年にマリア・テレジアのもとで設立され、現在はウィーン大学が管理している植物園。
ベルヴェデーレ上宮に隣接し、市内最大の緑地帯を形成している広大な敷地には、屋外エリアと温室があり多種多様な植物や樹木が育っています。
中でも蘭や多肉植物、パンノニア地方の植物など一部のものは、種の保護や研究において重要な役割を果たしているのだそう。
営業時間
1月 10:00~16:00
2月~3月 10:00~17:00
4月~9月 10:00~18:00
10月 10:00~17:00
11月~12月 10:00~16:00
休園日 12月24日~1月6日及び悪天候日
※入口によって開門時間が多少異なるので注意。
入園料
無料
Alpengarten
https://www.bundesgaerten.at/belvederegarten/alpengarten.html
1803年にシェーンブルン宮殿公園に設立され、1865年にベルヴェデーレ庭園に移されたヨーロッパ最古のアルプス庭園。
約150年の歴史を誇り、「Alpinum」と呼ばれるアルプス植物の歴史的に貴重なコレクションが展示されています。
4月に咲くツツジや、100本以上の日本の盆栽コレクションが人気。
他の庭園と異なり入園料が必要なので注意。
営業時間
3月~9月の月~日 10:00~18:00
休園日 悪天候日
入園料
大人 4,00ユーロ
19歳以下の子供 3,00ユーロ
※チケット売り場は午後5時30分に終了
ベルヴェデーレのチケット一覧
括弧内はチケット売り場での購入価格。
基本的にオンラインで購入した方が約15%安くなります。
また、Vienna City CardやFlexi Passを持っているとさらに割引が付きます。(チケットの詳細はこちら)
ベルヴェデーレチケットのオンライン購入はこちらから可能です。
https://www.belvedere.at/tickets
シングルチケット
大人
ベルヴェデーレ上宮 17,50ユーロ(20,00ユーロ)
ベルヴェデーレ下宮 14,60ユーロ(17,00ユーロ)
ベルヴェデーレ21 9,30ユーロ(11,00ユーロ)
65歳以上
ベルヴェデーレ上宮 14,10ユーロ(16,50ユーロ)
ベルヴェデーレ下宮 10,90ユーロ(12,50ユーロ)
ベルヴェデーレ21 6,90ユーロ(8,00ユーロ)
26歳以下
ベルヴェデーレ上宮 14,10ユーロ(16,50ユーロ)
ベルヴェデーレ下宮 10,90ユーロ(14,00ユーロ)
ベルヴェデーレ21 6,90ユーロ(8,00ユーロ)
19歳以下
無料
Vienna City Card併用
ベルヴェデーレ上宮 16,00ユーロ
ベルヴェデーレ下宮 13,10ユーロ
ベルヴェデーレ21 7,00ユーロ
介助が必要な方
ベルヴェデーレ上宮 4,00ユーロ
ベルヴェデーレ下宮 4,00ユーロ
ベルヴェデーレ21 3,00ユーロ
2 in 1 Tageskarte
上宮・下宮のコンビチケット。
大人 25,90ユーロ(28,90ユーロ)
65歳以上 21,60ユーロ(24,70ユーロ)
26歳以下 21,60ユーロ(24,70ユーロ)
19歳以下 無料
Vienna City Card併用 23,40ユーロ
介助が必要な方 5,00ユーロ
3 in 1 Tageskarte
上宮・下宮・ベルヴェデーレ21のトリプルチケット。
Vienna City Cardとの併用はできません。
大人 28,20ユーロ(32,00ユーロ)
65歳以上 23,70ユーロ(26,00ユーロ)
26歳以下 23,70ユーロ(26,00ユーロ)
19歳以下 無料
介助が必要な方 6,00ユーロ
Jahreskarte
上宮・下宮・ベルヴェデーレ21の年間パスポート。
有効期限は初回訪問日からカウントが開始されます。
Vienna City Cardとの併用はできません。
年パス定期 39,00ユーロ
年パス定期+1 64,00ユーロ(1名同伴可能)
年パス 44,00ユーロ
年パス+1 69,00ユーロ(1名同伴可能)
年パスU26 27,00ユーロ(26歳以下)
Freundeskarte
美術愛好家による非営利団体「ベルヴェデーレ友の会」の入会用チケット。
大人 75,00ユーロ
65歳以上 55,00ユーロ
30歳以下 30,00ユーロ
二人家族 135,00ユーロ
1人同伴 350,00ユーロ
2人同伴 850,00ユーロ
通常のチケットよりも高いですが、ベルヴェデーレ友の会に入会すると他のチケットには無い特典も付与されます。
- ベルヴェデーレ上宮、ベルヴェデーレ下宮、ベルヴェデーレ21のすべてのコレクションと展示へのタイムスロット予約なしの入場
- 展覧会のオープニングへの招待
- 友の会限定の割引や特典が記載されたニュースレター
- ベルヴェデーレのアートプログラムへの無料参加
- ミュージアムの特別プログラムへの割引
- 友の会限定のガイドツアーやイベントプログラム
- 無料オーディオガイド
- ブリックレ・シネマへの無料入場
- 選定された協力パートナーのイベントへのVIPパス
- ベルヴェデーレ・マガジンの配送
- 提携施設での割引
- リンツ・レントス美術館の割引入場
- ザルツブルク現代美術館の割引入場
- オーストリア国立図書館の割引入場
- スマートフォンのウォレットに簡単に登録可能
何度も訪れる前提での検討にはなりますが、特にタイムスロット指定が不要になることとベルヴェデーレ内のショップで割引が効くようになるのが大きなメリットでしょうか。
旅行におすすめのチケットは?
一度だけ訪れる前提で考えると、
- 時間がない方は上宮のみのチケット
- 上宮・下宮見て回りたい方は2 in 1チケット
- Belvedereで1日費やす時間がある方は3 in 1チケット
がおすすめです。
ただし、ベルヴェデーレの施設は基本18時頃までの開園なので、じっくり見て回り時間があるかどうかは要検討です。
シェーンブルン宮殿ほどではないものの、いずれも1時間程度は見て回る時間が必要ですし、庭園の移動にも10分程度は掛かります。
なお、上述のVienna City CardやFlexi Passはあればもちろん便利ですが購入にあたり検討が必要なデメリットなどもあるので、ベルヴェデーレを訪れるためだけに購入するのはおすすめしません。
Bundesmuseen Cardとは?
https://www.bundesmuseencard.at/
上記のチケットの他、「Bundesmuseen Card」で代用するのも一つの手です。
Bundesmuseen Cardはオーストリア国内の有名な博物館の年パスをセットにしたもので、ベルヴェデーレの他アルベルティーナ、ウィーン歴史博物館、自然史博物館、国立図書館などの入場料も全て込みで99ユーロの年パス価格となっており非常にお得。
シェーンブルンなど対応していない所もありますが、特にウィーンの美術館・博物館を堪能するなら持っておいて損はないカードです。
ウィーン観光でのベルヴェデーレの重要度
ウィーンはそこまで広くない街ですが、観光名所は中心部に数多く存在しています。
もし滞在できる期間が1日~2日程度であれば、正直ベルヴェデーレの優先度はそこまで高くありません。
シェーンブルン宮殿はもちろんのこと、シュテファン寺院やグラーベン通り、あるいはカフェ巡りなどを優先するべきだと、個人的には思います。
滞在日数も3日以上あって、時間的にも体力的にも余裕があればベルヴェデーレも行き先の一つに加える、くらいの気持ちで大丈夫です。
それでも、バロック時代の絢爛かつ荘厳な装飾は一度見ると忘れられないほど綺麗なものには違いないので、ウィーンを訪れる際はぜひベルヴェデーレにも足を運んでみて下さい。
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